研究課題
基盤研究(A)
本研究は、ユーラシア草原地帯を対象とし、狩猟採集社会→移動性牧畜社会→遊牧社会へ移行していく中で、定住生活をしない非農耕社会にもかかわらず墓を中心とする大規模モニュメントが築造されていることに注目する。農耕社会との接触をもたない草原地帯東部で社会複雑化・階層化が生まれた原因を、動物利用による輸送能力の向上と交易網の形成に求め、農耕を主たる生業としない社会の複雑化モデルを構築するのが研究目的である。
5つのサブテーマ(モニュメントの実地調査、交易と青銅器生産の検討、家畜化と輸送動物の検討、モニュメント立地と交易路復元、異なる社会との比較研究)を設定し、現地調査、資料調査、理化学的分析を行う計画で、研究方法も明確であり、研究組織も無駄なく構成されている。動物の輸送利用に着目することでダイナミックな社会変革のプロセスを解明しようとする独創的な研究課題であり、着実な研究成果も見込まれる。