研究課題/領域番号 |
22H00057
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川口 大司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (80346139)
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研究分担者 |
齊藤 有希子 (梅野有希子) 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (50543815)
原 ひろみ 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (50605970)
北尾 早霧 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (50769958)
渡邉 安虎 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (60866250)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 新技術 / 雇用 / 労働環境 / 賃金 |
研究実績の概要 |
2022年度当初、1. ロボット技術が雇用や賃金に与える影響、2. 人工知能が雇用や賃金に与える影響、3. 企業間取引の電子化に関するネットワーク効果の推定の遂行を計画した。 ロボット技術が雇用や賃金に与える影響に関して、産業ごとに利用するロボットの種類が違うこと、ロボットの種類によって技術進歩に伴う価格下落の度合いが違うことを用いて、ロボット導入が雇用や賃金に与える影響を分析した。分析の結果、ロボット導入は雇用、賃金の双方を増加させてことが明らかになった。これはロボットが雇用を代替する効果を、生産コスト低下に伴う生産規模拡大の効果が上回ったことを示唆している。 人工知能が雇用や賃金に与える影響に関して、タクシーへのAI導入が生産性に与えた影響を分析している。分析の結果、低スキルのドライバーにAI導入の生産性上昇効果が強く見られることが明らかになった。 企業間取引の電子化に関するネットワーク効果の推定については、東京商工リサーチ社と東京大学政策評価研究教育センターが共同して行ったインターネット調査における電子的な商取引の導入に関する質問を用いて分析を行った。企業間の電子取引の導入について、ネットワーク効果が存在し、その大きさは経営者の年齢に依存することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4つの研究プロジェクトはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は以下3つの研究課題について取り組む。 1. ロボット技術が雇用や賃金に与える影響 2. 人工知能が雇用や賃金に与える影響 3. 企業間取引の電子化に関するネットワーク効果の推定 1のロボットの影響については、ロボット導入に関する企業レベルのアンケート調査を経済産業研究所の協力のもと実施した。このデータを民間信用調査会社の企業データや政府統計((企業活動基本調査、工業統計、経済センサス、事業所・企業統計、賃金構造基本統計調査、雇用動向 調査、労働力調査、国勢調査など)と接続することで、ロボットの導入が雇用、一人当たり人件費、生産性、付加価値、従業員の職種構成など、どのような影響を与えたかについて統計分析を進める。また、企業規模別に経時的に変化する投資税制の変化をロボット導入の操作変数とし て用いることで因果関係を識別する。2の人工知能の影響については、民間企業との共同研究で得たデータを用いて実証研究を行いディスカッションペーパーをまとめた。この結果を学会などで発表し、学術雑誌に交換することを目標とする。3の企業間取引の電子化に関する影響の分析は、当初の在宅勤務に関する研究計画を変更したものである。東京商工リサーチ社と東京大学政策評価研究教育センターが共同して行ったインターネット調査における電子的な商取引の導入に関する質問を用いて分析を行う。企業間の電子取引の導入について、ネットワーク効果がどの程度存在するのか、さらにはネットワーク効果の大きさが経営者の年齢にどのように依存するのかといった点に焦点を当てて分析を行う予定である。
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