研究分担者 |
太田 和惟 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (70770775)
大坪 紀之 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (60332566)
千田 雅隆 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (00451518)
中村 健太郎 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (90595993)
安田 正大 北海道大学, 理学研究院, 教授 (90346065)
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研究実績の概要 |
今年度はテキサス大学オースティン校のAshay Burungale氏および大阪大学の太田和惟氏と虚数乗法をもつ楕円曲線の分岐する素数における岩澤理論の研究に特に力をいれて研究を行なった. これはこれまで研究してきた同様の設定の惰性的な素数の場合をモデルとして, その分岐版を構築する研究である. 太田氏と九州大学または大阪大学において複数回議論を行い, Burungale氏のいるオースティンを訪ねたり, Burungale氏を九州大学に招聘するなどして研究を行なった結果, 理論全体の見通しがたち, いくつかの鍵となる定義やアイデアを得ることができた. またこれまで研究を続けてきた惰性的な素数の場合は, いくつかの結果をいくつかの雑誌に投稿し, リバイス等を行なった. イプシロン予想の研究に関しては, 北海道大学の安田正大氏を訪ねて詳細を詰め, 成果をまとめて投稿することができた。また非可換な場合のイプシロン予想に一般化する研究もスタートさせた。惰性的素数の場合のRubinのp進L関数のμ不変量を決定する問題もスタートさせた. そのためにはRubinのp進L関数の新しい構成法が必要になるが, そのためのアイデアを得ることができた. ポスドクを一人雇用しDarmon-Vonkによるp進的手法による特異モジュライの理論の研究も行なった。9月には岩澤理論の権威であるBertoliniの60歳記念集会で研究成果を発表した. 1月上旬にはソウルの国際的な整数論の集会、1月上下旬にはカリフォルニア大学サンタバーバラ校のセミナー、2月上旬にはテキサス大学オースティン校のセミナーにおいて研究成果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
CM楕円曲線の分岐する素数における岩澤理論は未知の部分が大きく, 本当に惰性的な場合と同じような扱いができるのか疑問もあった. とくにsemi-stableでもない悪い素点における岩澤理論は, これまであまり研究例がなく手探りの部分が大きい.今年度の成果により, 惰性的な素数の場合と同様な理論ができる可能性が高まった.
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