研究課題/領域番号 |
22H00124
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石川 貴嗣 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (40400220)
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研究分担者 |
白鳥 昂太郎 大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (70610294)
冨田 夏希 京都大学, 理学研究科, 特定助教 (80894592)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | ダイバリオン / ハドロン間相互作用 / ハドロン内部構造 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ドイツCOSYで発見されたスピン3、アイソスピン0の6つのクォークからなるd*(2380)ダイバリオンとスピン・アイソスピン鏡映状態をJ-PARCのπ20ビームラインの陽子・陽子衝突反応で観測し、その質量からダイバリオンの内部自由度が何かを特定することにある。π20ビームラインでは、チャームバリオン分光を行う実験の枠組みで磁気スペクトロメータの建設準備が進められており、この一部をダイバリオンの探索実験に流用する。二次粒子ビームの運動量標識化のためのシンチレーティングファイバーによるファイバートラッカー(FT)、時間基準を与える高時間分解能スタートカウンター(T0)、終状態粒子の飛跡検出用のFT一層と大型ドリフトチェンバー(DC)、側方の飛行時間測定用高抵抗ガラス板検出器(RPC)が既存の検出器である。ダイバリオン生成はpp→π-π-π+π+pp反応で行うため、発生する6粒子の軌跡を分離しなければならない。またチャームバリオン分光より広い角度範囲に放出され、かつ運動量が低いため双極電磁石で大きく偏向される。そこで飛跡検出器の細分化と多層化、および立体角の向上のため、多終状態粒子の軌跡を分離する多層FT、上下方向のRPC、前方のプラスチックシンチレータのホドスコープ(FH)の3 つの検出器群を開発・建設する。今年度には、TOFホドスコープの性能評価に関する原著論文として公表した。1.8 mの長さのプラスチックシンチレータに対して時間分解能60 psを達成した。実機SF読出回路の購入では、半導体の供給不足により部品の手配が大幅に遅れた。またRPCの試作を行ったが、時間分解能が130 psとかなり悪く、読出し回路系における時間デジタル変換で古いファームウェアを使ったためと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の想定に反し、実機SF読出回路の購入では、半導体の供給不足により部品の手配が大幅に遅れることが判明した。なお業者との事前打ち合わせの時点では年度中に納品可能とされていた。RPCの試作として、RPCの試作を行ったが、時間分解能が130 psとかなり悪く、読出し回路系における時間デジタル変換で古いファームウェアを使ったためと考えられる。また使用予定の炭素電極で電圧供給不良が生じたため、高圧印加用の電極の変更について、様々なデザインを検討しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
TOFについては実機建設を行う。実機SF読出回路の納品を待って、SF動作試験を行う。RPC高圧印加用の電極の変更については、様々なデザインを検討しているところである。特に銅パッドと抵抗チップを並べた炭素を使わない高圧印加用電極が候補となる。最終的にはビームを使った検出器の動作試験に持ち込む。
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