研究課題/領域番号 |
22H00143
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
澤田 真也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (70311123)
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研究分担者 |
渡辺 丈晃 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (00415043)
高橋 仁 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (60353372)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 標的 / 大強度陽子加速器 / 二次ビーム / 原子核物理 / 素粒子物理 |
研究実績の概要 |
本研究では、ヘリウムガスによって冷却および回転駆動を行う円盤型回転標的の開発を行う。事前の開発研究を礎に、主に以下の項目について研究を行う。(1)円盤の周辺部と中心部に異種金属を用いるがその接合方法の実証を含む円盤の製作方法の確立、(2)密閉容器内でのヘリウムガスによる冷却効率の基礎データの収集と熱流体解析、強度解析による標的デザインの最適化、(3)回転円盤監視装置の開発・試験、(4)ヘリウムガス中での長期運転試験による実証。 このうち、2023年度には以下の研究を実施した。 (1)円盤の製作方法の確立:タングステン素材の接合試験およびその評価をおこなった。(2)熱流体解析・デザイン:ヘリウムガスによる冷却効率を現実的な3次元の条件で解析するための熱流体解析を立ち上げ、テストベンチ計算を実行した。また、ヘリウム雰囲気中での回転円盤の冷却効率の測定を行った。(3)ヘリウム循環装置の開発:ヘリウム循環装置の基幹装置となるヘリウムガスコンプレッサーの耐久試験を実施し、十分な寿命を得られることを確認した。(4)回転円盤監視装置の開発・試験:回転円盤の回転数を監視するモニターの一つである耐放射線変位センサー、および、円盤の温度センサーの試作および試験を行った。変位センサーについては、前年度の試作センターの評価に引き続き、実機用回路の設計・製作・試験を行った。温度センサーについては、試作した耐放射線サーモパイルの検証実験を行い、小型化ができれば有力な候補であることを確認した。(5)ヘリウムガス中での長期運転試験:長期運転試験に向けて、必要なセンサーを調達した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、ヘリウムガスによって冷却および回転駆動を行う円盤型回転標的の開発を行う。事前の開発研究を礎に、主に以下の項目について研究を行う。(1)円盤の周辺部と中心部に異種金属を用いるがその接合方法の実証を含む円盤の製作方法の確立、(2)密閉容器内でのヘリウムガスによる冷却効率の基礎データの収集と熱流体解析、強度解析による標的デザインの最適化、(3)回転円盤監視装置の開発・試験、(4)ヘリウムガス中での長期運転試験による実証。 これらについて、(1)円盤の製作方法:タングステン素材の試験・評価を行い、純タングステンでの円盤製作の目途がついた。(2)標的デザイン:熱流体解析により、初号機の標的デザインを決定できた。(3)回転円盤監視装置:回転円盤の回転数を監視するモニターの一つである耐放射線変位センサー、および、円盤の温度センサーの試作および試験により、概ね使用に耐える監視装置の目途がつきつつある。(4)ヘリウムガス中での長期試験:センサー類を調達し、ほぼ準備が整った。 これらから、2024年度には予定通り長期実証試験を行える見込みとなっており、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の計画では、ヘリウムガスによって冷却および回転駆動を行う円盤型回転標的の開発を行う。事前の開発研究を礎に、主に以下の項目について研究を行う計画である。(1)円盤の周辺部と中心部に異種金属を用いるがその接合方法の実証を含む円盤の製作方法の確立、(2)密閉容器内でのヘリウムガスによる冷却効率の基礎データの収集と熱流体解析、強度解析による標的デザインの最適化、(3)回転円盤監視装置の開発・試験、(4)ヘリウムガス中での長期運転試験による実証。 これらのうち、(1)はタングステン素材による円盤の製作方法に目途がついた。(2)は試作円盤標的のデザインをおこなった。(3)の回転円盤監視装置の開発についても一応の目途がついた。これらから、今後は(1)~(3)の開発の継続をしつつ、(4)のヘリウムガス中での長期運転試験を行い、そこからのフィードバックを得る予定である。試験において問題点を見出すことができれば、その解決方法について検討を行い、実証を目指したい。
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