今後の研究の推進方策 |
前述の様に、当初予定より観測開始が約1年遅れているが、それ以外は当初予定通り進める。2023年度中に、本格観測を開始したが、2024年度はそれを継続する。銀河系バルジ の約35平方度内の星約2億個(H<18.5mag)を60-120分に1回の高頻度サーベイをする。本研究期間中、日本人メンバー(代表者、助教2、研究員2、大学院生8名程度)が現地へ行き、観測、即時解析、アラ ート送信を行う。将来的に、現地研究者と協力して、リモート観測、自動観測へと段階的に移行する準備もする。また、他のパートナー機関(SAAO, NASA, ABC)の割り当て時間の観測も実行していく。これまでに、データ解析バイプラインの開発を進め、検出機の非線形性を補正した画像を生成できる体制を整えた。今後は、生成した画像を、Difference Image Analysis (DIA)で解析する。あらかじめ取得されていたseeingが良くシグナル/ノイズ比の高い画像をリファレ ンスとし、各観測画像からこれを引き算すると、変光した天体のみが残り、発見し易く、測光精度が高い。バルジの様な星密集領域で特に有効で、研究協力者I.Bond氏 (Massey大学, NZ)がMOA-IIで18年間運用しているパイプラインを移植する。PRIMEは、年間約200TByte(圧縮後)もの大量のデータを取得する。現地に導入した、 サ ーバー4台で即時解析し、イベント検出後直ちにアラートを世界中に発信し追観測を促すシステムを作る。MOA-IIでは、多数の偽検出から観測者が目視でイベントを選んでいたが、最近、機械学習を用いて絞り込むシステムを導入した。これをPRIMEにも導入する。レンズ天体が1個の単純な光度曲線からのズレが観測されると、即座に連星レンズモデルでフィットして、惑星系かを判断しアラートを出すことで、惑星発見数を増やす。
|