研究課題/領域番号 |
22H00219
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
瀧口 浩一 立命館大学, 理工学部, 教授 (70633254)
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研究分担者 |
野坂 秀之 立命館大学, 理工学部, 教授 (60524121)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | THz帯無線通信 / OFDM通信 / THz帯領域直接信号処理 / 干渉計 / 集積回路 |
研究実績の概要 |
マッハツェンダ干渉計(MZI)、あるいはマイケルソン干渉計(MI)からなるTHz帯OFDM信号チャネル分離用THz帯フーリエ変換回路を、バルク素子を用いて実現することを目指した。具体的には、以下の内容を実施した。 (1) MZI型・MI型フーリエ変換回路の計算による基本特性の把握、比較を行った。また、この結果に基づき、MZI型干渉計構成のフーリエ変換回路、および回路評価・信号分離実験系を構築した。FSR 50 GHz、分離チャネル数4の回路を実現した。 (2) フーリエ変換回路の特性評価、回路を活用した信号分離実験を300 GHz帯で行った。容量50 Gbit/s(4 ch x 12.5 Gbit/s)の2値OOK-OFDM信号のチャネル分離実験を行った。現状、4 ch x 7.0 Gbit/s(周波数利用効率0.56)のFDM信号の分離を実現しているが、OFDM信号の分離は未完了で、現在も検討を継続している。 また、計画外の内容として、以下の関連する成果を得た。 (3) 集積型非対称マッハツェンダ干渉計型光信号エミュレータとフォトミキシングで生成した300 GHz帯のPAM4信号を用いて、25 GbaudのTHz帯PAM4通信を実現し、簡易型のTHz帯大容量無線通信に道を拓いた。また、新規周波数シンセサイザを提案し、実証ボードを用いて動作検証を行った。位相補間回路によりアキュムレータ出力の周期的なジッタを著しく抑圧でき、スプリアスレベルは、アキュムレータ出力の-2.2 dBに対して、-55.7 dBまで大幅に抑圧できることを確認した。 (4) AWGペアと固定遅延線アレイから構成され、2値強度変調光信号の時間・波長領域2次元符号/復号化を行う集積型光信号暗号化回路を実現し、初期動作を検証した。また本構成を、40 Gbaud光PAM4信号の波長分散補償にも適用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度内の計画の中で、バルク型フーリエ変換回路によるOFDM信号チャネル分離実験が完了していないが、当初の計画外の内容として、THz帯PAM4通信の実現、新規周波数シンセサイザの実現、光信号処理用高機能集積回路(光OFDM通信ノード用光回路、光信号暗号化回路、光波長分散補償回路)の進展などの予定外の関連する成果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の検討結果、成果を基に、2023年度には以下の内容を実施する。 (1) バルク型フーリエ変換回路を用いた2値OOK-OFDM信号のチャネル分離実験を完了させ、次段階の研究に向けて知見、課題をまとめる。受信器に関して、ショットキーバリアダイオードから、より感度の高いものに代えて実験を行う。 (2) 2022年度および上記(1)の検討によって選択した干渉計構成を用いて、OFDM信号チャネル分離用初期集積回路の実現に向け、回路用最適材料を決定し、回路の最適設計および作製を行う。 (3) THz帯集積回路の測定評価が可能な実験系を構築する。この実験系を活用して、OFDM信号チャネル分離用集積回路の特性評価、回路を用いたTHz帯OFDM信号分離実験を開始する。 また、成果の英文論文誌、国際会議での発信を加速する。
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