研究課題/領域番号 |
22H00238
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
塩屋 晋一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (80170851)
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研究分担者 |
吉岡 智和 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (40304852)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自然循環型材料 / 木質構造 / カーボンニュートラル / ハイブリッド部材 / 耐火設計 |
研究実績の概要 |
鉄筋コンクリート造や鉄骨造と同等以上の構造性能を発揮する鉄筋集成材と、構造の設計方法を構築することを目的に下記の事項を実施した。 1)実大寸法断面の鉄筋集成材梁の長期クリープ載荷試験:上端と下端に二段の鉄筋を配筋した実大鉄筋集成材梁の試験体と比較用の無筋の実大集成材梁の試験体と加力装置の設計と製作を行い、令和5年度4月から本格的にクリープ試験を開始できるように準備した。2)梁端に変形を集約する梁と柱の接合骨組の弾塑性性状と評価モデルの解明:梁の鉄筋にネジ鉄筋を用いることを想定して、柱と梁の接合方法を開発して、低降伏点鋼の鋼製バンパーと摩擦ダンパーを組み込む場合について開発を行った。ネジ鉄筋のロックナットエンドプレートの接合性能と鋼製タンパーの力学的特性を把握した。令和5年度から接合部の本格的な検証実験ができる状況を整えた。3)燃えしろ(炭化層)を耐火被覆とする梁の準耐火性能(60分)の燃焼実験:実大寸法の一段筋と三段筋の梁の3体の燃焼試験を、外部の性能評価機関で実施して、開発していた60分燃焼時の耐力の計算方法で推定される耐力を、保証できることが確認されて、梁については、準耐火構造の燃えしろ設計が可能になることが実証された。また燃焼時の内部の抵抗機構も、内部のひずみや温度から明らかになった。4)高軸力を受ける鉄筋集成材の柱の曲げ性能に関する加力実験:建物1階の柱の柱脚を除く、柱の曲げ特性と評価方法を実験と解析により明らかにした。柱の曲げの設計方法を整備した。5)鉄筋集成材架構のための耐震壁の加力実験と評価:鉄筋集成材の柱の高耐力を活かすCLT耐震壁を開発して、実験で検証した。大地震を多数回、経験しても、無損傷で高耐力と異次元のエネルギー消費性能を発揮することを実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実大梁のクリープ試験を実施できる状況の準備ができて令和5年度の4月からできる。柱と梁の接合システムの設計を終えて、実用化が最も早いと見込まれる鋼製ダンパーの基本性能を把握して令和5年度から本格的な柱と梁の接合方法の検証実験を実施できる準備ができた。梁については60分準耐火構造の性能を発揮できる設計方法が第三者の性能評価機関で実証された。高軸力を受ける柱の曲げ特性に関する実験を行い、その評価方法も整備できた。さらに梁の接合と関係する鉄筋集成材のラーメン架構で用いることができるCLT耐震壁を開発できた。
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今後の研究の推進方策 |
鉄筋コンクリート造や鉄骨造と同等以上の構造性能を発揮する鉄筋集成材と、構造の設計方法を構築することを目的に下記の事項を実施する。 1)実大鉄筋集成材の梁のクリープ試験の測定を今後、2年間、継続して設計で用いるクリープ係数を特定する。2)実大鉄筋集成材の柱と梁の乾式接合の検証試験を継続して、鋼製ダンパーと摩擦ダンパーを用いる場合について開発を行う。3)実大鉄筋集成材の柱の60分準耐火構造の燃えしろ設計の耐力の評価方法を開発して外部の性能評価機関で燃焼試験を実施し、その設計方法により性能評価の基準を満たす性能が保証されることを確認する。4)鉄筋集成材の柱と梁で構成される骨組に適したCLT耐震壁の設計方法を開発する。5)鉄筋集成材の柱と梁で構成される骨組の1階の柱の柱脚の乾式接合を開発して、設計方法を開発する。
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