研究課題/領域番号 |
22H00256
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
細田 秀樹 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (10251620)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 超弾性 / チタン合金 / 相安定性 / 形状記憶合金 / マルテンサイト変態 / 格子変形歪 / すべり臨界応力 / 組織 |
研究実績の概要 |
本研究は巨大形状回復ひずみを有する室温超弾性チタン合金の創成と相安定の解明と題し,準安定βTi合金の応力誘起マルテンサイト変態による超弾性ひずみの室温における最大値の追求と,その相安定性を解明するものである.Ti合金の形状記憶・超弾性効果は,Tiのbcc相とそのマルテンサイト斜方晶間の無拡散変態とその格子変形に起因する.室温で超弾性を得るためにはこの相変態温度を室温以下にする必要があり,これはβ安定化元素を十分添加することで達成できる.しかし,それによりbccとhcpの中間的な構造のマルテンサイト相の結晶構造もbccに近づき,格子変形ひずみが大変小さくなる問題がある.我々は,この問題に対し,共析系β安定化元素の少量添加とα安定化元素の多量添加により打破する可能性を見出した。そこで,チタンの室温超弾性での最大可逆変形の限界に挑み,その相安定性を解明することを目的としている. 本年度は,Ti-Cr系,Ti-Mo系,Ti-Au系について研究を進めた.特にTi-Cr-Sn系では,室温超弾性が発現することを見出したTi-2.5Cr-8.5Sn, Ti-3.0Cr-7.5Sn, Ti-3.5Cr-7.0Sn, Ti-4.0Cr-6.5Sn (mol%)合金の超弾性挙動の解明を試みた結果,Ti-4.0Cr-6.5Sn合金で6.5%の大きな超弾性歪と641MPaの高いすべり臨界応力,420MPaの超弾性変形応力が達成できることが分かった.これは,本合金が6.3%もの大きな格子変形歪を有することと,かつ,良好な冷間加工性から集合組織の発達と制御が可能であることによる.また,新たな添加元素の可能性としてBiや,CrとAuの同時添加などについて明らかにした.さらに,本合金開発における機械学習の利用や,本アイデアのTi系以外の形状記憶合金への適用などについても進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
共析系や偏晶系添加元素を含むチタン合金において,機械的性質を劣化させ,超弾性の発現を阻害するω相の影響について組織的に新しい知見が得られた.特に高Al合金を時効後に,等温ω相と等温α"相が共存することを高分解能TEMで検証することができた.これらTi-Cr系およびTi-Mo系に関する研究論文を1年間で7報公表することができた.また,機械学習についても順調に進めることができ,学会発表ではあるが公表できた.また,Ti-Cr-Sn合金の3次元積層造形や,2023年度からは国際共同研究も開始しており,本研究自体とは異なるが,本研究に関連した研究が当初の予想より広がりつつある.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は生体用チタン合金の室温超弾性における究極の格子変形ひずみを追求するもので,その機械的性質,超弾性挙動,結晶構造,相変態,相安定性について,実験,計算,マテリアルインフォマティックスの面から研究する計画に変わりはない.2022年度は,集積イオンビーム加工装置FIBを急遽購入する必要が生じたため,本研究費で計画した特任助教の雇用はできなかったが,2023年度から2年間は計画通りに雇用する.また,TiCrSn合金単結晶の研究を大学院博士課程学生の研究として進めている.以上より,当初の計画通りに進行中である.
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