研究課題/領域番号 |
22H00280
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
竹延 大志 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70343035)
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研究分担者 |
蒲 江 東京工業大学, 理学院, 准教授 (00805765)
宮田 耕充 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (80547555)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 原子層物質 / 円偏光発光 |
研究実績の概要 |
本研究は、全く新しい原理を用いた 室温における電流励起円偏光発光素子と、その電気的な偏光方向の切り替えの実現を目的とする。具体的には、申請者が発見した独自技術 『歪みを導入した原子層物質における室温かつ電気的制御可能な円偏光発光』を発展させる。本効果に関する理論計算は、室温における偏極率100%の純粋円偏光発光と電気的制御を予言しており、本研究は偏光方向制御の学理構築と、室温における純粋円偏光発光の電気的制御に挑戦している。 これまでの研究は、可撓性を有するプラスチック基板上に原子層物質を用いた発光素子(電気二重層発光ダイオード)を作製し、『プラスチック基板を曲げる』という簡便な方法により歪みを導入した。この際、原子層物質に導入される歪みは、プラスチック基板の厚みと屈曲時の曲率半径Rに比例し、本手法により10%を超える一軸性弾性変形が実現可能だ。しかし、大きく屈曲した基板は発光実験が難しく、現状では1%程度の歪みによる24%の偏極率に留まっていた。そこで、特に2023年度は、昨年度実現した1%を超える歪みの導入方法を発光素子に導入した。加えて、「より高強度な電場の導入」と「高密度なキャリアドーピング」を実現するために i) 冷却により電解質を凍結させ、電位窓を大きく超える電圧印加、(ii) 電解質が追随不可能な電圧パルスを用いた酸化還元反応を引き起こさない強電場印加手法の確立、の二点に着手し、大きな成果を得た。特に、2024年度に達成を目指していた「高密度なキャリアドーピング」に成功し、予定を前倒して研究を推進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度の目標であった「より高強度な電場の導入」に成功した。加えて、2024年度の達成目標であった「高密度なキャリアドーピング」において大きな成果が得られ、2024年度に着手予定であった「円偏光発光の評価手法の構築」などにも着手し、予定を前倒しての研究を推進した。以上より、当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、「1%を超える歪み導入手法」と「より高強度な電場の導入手法」を更にブラッシュアップしつつ、前倒しにて着手している「高密度なキャリアドーピング」「円偏光発光の評価手法の構築」などを、引き続き推進する。
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