研究課題/領域番号 |
22H00309
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
柳田 健之 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (20517669)
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研究分担者 |
渡辺 賢一 九州大学, 工学研究院, 教授 (30324461)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | シンチレータ |
研究実績の概要 |
主担当の奈良先端大においては、レーザー分野での知見を基に、Nd等の近赤外発光が期待できる発光中心を添加した様々なシンチレータを合成し、基礎物性や検出器としてアセンブリした際の検出器特性である線量率応答等を評価した。様々な物質を評価したところ、Er添加Bi4Ge3O12 (Er:BGO) は、6 mGy/hr の検出下限を達成した。BGOは紫外可視発光シンチレータとして有名であり、一般に用いられる紫外可視発光する添加物を加えた際には、効果が表れない事が知られていたが、近赤外域ではドーパントの効果が顕著に表れるという事は、基礎科学的な意味では大きな発見である。またErは通信などに用いられる1.5ミクロン帯の発光が知られているが、シンチレーションにおいても同じ発光が支配的であった。さらに検出器化した際には、この1.5ミクロン帯の発光を用いる事で、センサーとしての感度もより向上することが明らかとなった。分担の九州大においては、InGaAs光電面を持つ光電子増倍管を購入し、実験系の構築に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね当初の予定通りの進捗である。研究代表者は、いくつかの近赤外シンチレータを開発し、積分型検出器として評価した際には、数 mGy/hr 程度の検出下限を示し、最終目標値に近い値を達成した。分担者が担当する発光量の定量評価を目指した近赤外光電子増倍管を用いた系は、初期セットアップおよび動作確認までを行い、今後は近赤外シンチレータの評価を行う。
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今後の研究の推進方策 |
申請書に記載した通り、様々な近赤外発光シンチレータを作製し、特性を評価する。目標は積分型検出器で 1 mGy/hr よりも高い検出下限を達成する事と、ph/MeV 単位でのシンチレーション発光量の定量化である。
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