研究実績の概要 |
Vazabitide A、Ficellomycin、Azinomycin Bはの化合物がどれも(2,6)-diamino-(5,7)-dihydroxy-heptanoic acid (DADH)を前駆体として合成される。Vazabitide Aの前駆体として生合成されるDADHが2S,6R,5RのDADHであるのに対し、FicellomycinやAzinomycinBの前駆体は、5位、及び6位の立体化学が異なる2S,6S,5SのDADHである。本年度は、5位の立体選択性の違いをもたらすと考えられるトランスケトラーゼについて研究を行った。具体的には、各トランスケトラーゼについて、in vitroで反応系の構築を行った。AmCPが付加した基質を模倣した擬似基質N-acetyl-GSAを用いた反応系を構築することができた。現在、反応産物の立体化学を決定している。s56-p1生合成において、CupinドメインおよびアミノアシルtRNA合成酵素ドメインからなるSpb40のCupinドメインがN-N結合形成を担う。本年度は、Cupinドメイン、あるいはSpb40全長の結晶化を試みた。そのうち、Cupinドメインの結晶化に成功し、その金属にカルバモイルリン酸様化合物が結合していることが分かった。この分子の同定を行っている。抗菌物質MaleimycinがAmCPを介して生合成されることが明らかになっている。本年度の研究により、複数の新規反応により、生合成けいろ生合成経路の全容を解明した、その過程に新規な反応が関わっていることが判明し、現在その詳細を解析している。また、これ以外に2つのAmCPの遺伝子を含むを新規生合成遺伝子クラスターについて、生合成される化合物の同定に成功し、それらの生合成機構の一部及び全容を明らかにしつつある。
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