研究課題/領域番号 |
22H00371
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
海部 健三 中央大学, 法学部, 教授 (30615258)
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研究分担者 |
脇谷 量子郎 東京大学, 大気海洋研究所, 特任准教授 (00816069)
小川 健 専修大学, 経済学部, 准教授 (10622201)
小谷 知也 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (30389069)
安樂 和彦 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (50274840)
秋吉 貴雄 中央大学, 法学部, 教授 (50332862)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | ウナギ / 放流 |
研究実績の概要 |
放流は、現在進行形で進められている、大規模なニホンウナギ資源回復方策である。しかしながら最近、放流による資源回復の効果が低いことや、放流が個体群に負の影響を与える可能性が指摘されている。本研究課題は高効果・低リスクであり、かつ、日本国内で実施可能な放流手法の提案を目指し、(1)標識放流実験、飼育実験、国外の事例研究を通じた、より生残率・成長速度の高い放流手法の考案、(2)漁業法を背景としたウナギ放流の制度分析、(3)放流の主体である漁業協同組合における、ウナギ放流がもたらす費用便益の分析を行う。 (1)に関して、2022年3月にシラスウナギを購入し、耳石標識を施して鹿児島県の河川に放流した。再捕獲調査は2026年に行う。また、鹿児島大学において飼育実験の準備を整え、2023年6月より順次実験を実施する。さらに、国内外のウナギ放流の調査研究を取りまとめ、総説論文を執筆、投稿した(現在査読中)。 (2)に関して、都府県の漁業調整規則、水産庁から都府県へ出された通達など、ウナギ放流に関わる行政文書を収集した。また、ウナギにとどまらず、内水面漁業協同組合による放流に関する学術論文を収集した。2023年度より分析を始める。 (3)に関して、複数の漁業協同組合に対して聞き取りを行い、分析の基礎となる数理モデルのパラメーターを検討している。2023年度も聞き取り調査を継続しながら、仮のモデルでシミュレーションを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
シラスウナギの標識放流について、計画では2023年度に行う予定だったが、2022年3月にシラスウナギを購入することができたため、2022年度中に標識放流を行った。 行動実験についても、当初計画では2024年から2025年に行う予定でいたが、準備が順調に進んだことから、2023年度に実験を開始する。初めの実験は2023年6月に予定している。 ヨーロッパにおける事例研究では、2022・2023年度の2年間で文献調査を行う予定でいたが、2022年度中に文献の精査が終了し、総説論文にまとめて投稿した(査読中)。
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今後の研究の推進方策 |
標識放流、飼育実験、国外の事例研究に関して、当初の計画以上に進展していることから、全体的に計画を前倒しして進めるとともに、政治学的、経済学的な研究について、これまで以上にエフォートを割く。 具体的には、2024・2025年度に計画していた飼育実験を、2023年度にほぼ終了させる(一部は2024年度に行う予定)。また、国外の事例研究のため、専門家を日本に招聘してより詳しい情報を得る。これら2024年度以降に計画していた内容を2023年度に実施することから、2024年度以降の予算を前倒し使用する必要が生じる。
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