研究課題/領域番号 |
22H00391
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中塚 雅也 神戸大学, 農学研究科, 教授 (40432562)
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研究分担者 |
中島 正裕 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80436675)
八木 洋憲 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (80360387)
井上 果子 宮崎大学, 地域資源創成学部, 准教授 (70733129)
平井 太郎 弘前大学, 大学院地域社会研究科, 教授 (70573559)
柴田 祐 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (90444562)
一ノ瀬 友博 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 教授 (90316042)
原科 幸爾 岩手大学, 農学部, 准教授 (40396411)
山下 良平 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40515871)
清水 夏樹 神戸大学, 農学研究科, 特命准教授 (40442793)
柴崎 浩平 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教 (60822046)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 心理的資本 / 価値創造 / 農村イノベーション / 農村計画 / アクションリサーチ / 地域資源管理 / 地域連携 |
研究実績の概要 |
基盤となる諸理論の整理と仮説フレームの構築,予備的な事例分析を進めるとともに,丹波篠山市および熊本県宇土市,八代市などにおいて合同フィールド調査を行った。具体的には,次の3つのアプローチから研究を進めた。 A)心理的資本・能力開発については,心理的資本をはじめ社会関係資本,地域愛着など関連する諸概念,先行研究を整理し,農村版の心理的資本の測定尺度のプロトタイプを開発した。その上で,実際に,農村集落および地域づくりコーディネーターのワークショップにて試験測定をおこない,指標の妥当性や課題を検討した。また,事例調査から地域の人口安定と心理的資本や社会関係資本に関連性がある可能性も把握した。 B)価値創造については,価値創造を進めるフレームの構築と検証のための事例候補の選定を進めた。集落点検,4Dサイクル+対話,探究学習,研修ワークショップなどを介入手法としてとりあげ,試行的なワークショップを実施した。青森県や高知県でのワークショップにおいては,その有効性を一部確認できた。 C)農村イノベーション促進では,農村部,農村計画特有のイノベーションに関する条件と理論を整理した。また,国内外の先進的な農村イノベーション事例として,熊本被災地における復興,岩手県紫波町,兵庫県東播磨地域,丹波篠山市,熊本県阿蘇地域などにおける市民参加と協働による農山村資源管理をとりあげ,現状評価,参与観察またはアクションリサーチを進めた。また,本研究の基点となる農村計画研究のレビューを進め,その成果を書籍化するとともに農村計画学会シンポジウムを通して共有した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
A)心理的資本・能力の開発については,その測定のための尺度開発を最優先して取り組んだところ,プロトタイプを提示できた。試行利用した結果から,地域づくりの現場での利便性と科学的妥当性の両立のため改善の必要性が確認されたが,指標として確立できる目処がついている。 B)価値創造については,地域課題に応じた,具体的で多様な介入手法の列挙ができている。今後のさらなる介入手法の充足,その上での体系化が課題であるが,現場での実験的実践も繰り返されており,概ね順調である。 C)農村イノベーション促進についても,全国の多様なタイプの農村イノベーション事例を取り上げることが叶い,中間的な評価・分析を行うとともに,参与観察やアクションリサーチを順調に進めることが出来ている。 以上,心理的資本,価値創造,イノベーションなどについての理論的整理については,十分でないところはあるが,研究全体としてはおよそ当初の計画通りに進んでおり,おおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画にそって着実に研究を進めるが,新たな農村計画論の開発において,改めて既存の農村計画研究と手法に関する評価が更に必要との認識に立ち,論文レビューを強化する。また,心理的資本・能力の開発については,農村計画版の測定尺度の確立を前半期におこない,早急に公開する。価値創造については,個別の介入手法の充足と類型化を進めることで研究としての体系化を図る。農村イノベーションについては,引き続き,参与観察とアクションリサーチを基礎としながらも,理論や学際的な研究,海外研究の動向などを意識して,現場の整合・統合を目指す。 また,研究経過の段階から学会セミナー,シンポジウム等を通じた情報公開を進め,本研究活動自体を,オープンなイノベーション創出の取り組みとする。
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