• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

中心点採餌を繰り返す海鳥の最適採餌行動に及ぼす同種他個体の影響

研究課題

研究課題/領域番号 22H00422
研究機関東京大学

研究代表者

佐藤 克文  東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (50300695)

研究分担者 坂本 健太郎  東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (80374627)
新妻 靖章  名城大学, 農学部, 教授 (00387763)
高橋 英俊  慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (90625485)
齋藤 馨  東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (70215531)
中村 和彦  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (70707075)
礒川 悌次郎  兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (70336832)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワードバイオロギング / オオミズナギドリ / エネルギーコスト / 限界値の定理 / GPS / 心電図
研究実績の概要

オオミズナギドリの育雛期に相当する8月末から9月中旬にかけて、岩手県船越大島において、GPSデータロガー・GPS加速度ロガー・ビデオロガーを繁殖中の背中に装着しデータを得た。これまでは装置を回収することによりデータを得る装置を使っていたが、今回は携帯電話回線網経由でデータが自動送信されるGPSデータロガーを用いた。その結果、育雛期中に繰り返し行う採餌旅行だけでなく、繁殖期を終えた後、ニューギニア島周辺の越冬海域に戻った後の経路データも得ることが出来るようになった。育雛期の採餌旅行の特徴として、これまでも時々北海道東岸海域まで出かける事例が報告されていたが、今回新たにロシア領にまで到達する雄個体が複数みられた。近年、温暖化の進行に伴い東北沖の水温上昇が顕著になりつつあるが、本種の採餌海域が北上していくことを反映した結果なのかもしれない。
成鳥に取り付けたビデオカメラによって、水中に突進潜水して採餌を繰り返す様子を撮影できている。得られた映像を解析するにあたり、人間が判断した魚種名など、映像の判定に必要な教師データを与え、AIによる自動判別手法を立ち上げた。
鋭敏な圧力センサを備えた体重と心拍数を測定できる人工巣箱を制作し、繁殖地から一時的に連れ帰った成長を対象とした測定を行い、体重と心拍数を同時に測定した。また、心電図ロガーを装着した成長をチャンバーに入れて、休止中の酸素消費速度を測定し、休息中の心拍数と酸素消費速度を測定することに成功した。
調査地に設置した後、不具合が生じて情報の伝送が途絶えていたライブモニタリングシステムは、2024年10月に行ったメンテナンスにより復旧した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年8月及び9月に、岩手県山田町船越大島の繁殖地において、繁殖中のオオミズナギドリ成鳥を対象とした調査・実験を行った。採餌旅行中のデータ取得には成功し、特に携帯電話回線経由でデータを得る新たな装置を導入し、データを得ることはできた。しかし、全個体からデータを得られたわけでは無く、また翌年の繁殖期に再び島に戻ってくることはまだ確認できていない。2024年度の調査では、データの取得率を上げ、前年の繁殖個体の回帰を確認する予定である。体重と心拍数を測定するために作成した人工巣箱によるデータは得られているが、そこで心拍数が正しく測定されていることの確認はまだ取れていない。
以上、年度初めの研究実施計画をおおむね遂行できているため、おおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

心電図ロガーをつけた成鳥の酸素消費速度に加え、二酸化炭素排出速度の測定を行うことが今年度の実施項目となる。また、成鳥に付けるGPSデータロガーについては、より小型のタイプと太陽電池を改良したタイプの2通りを導入し、データ受信率を向上させることを目指している。調査地に導入したソーラー電源システムと無線ネットワークを用いたライブモニタリングシステムのうち、マイクによる音声データが途絶えているので、今年度の調査においてそれらを復活させる予定である。AIによる画像自動判別の精度を上げるため、より多様な教師データを使ってトレーニングを進めていく。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件)

  • [雑誌論文] Nest box for monitoring the mass and heart rate changes of a growing seabird chick.2024

    • 著者名/発表者名
      Daiki Uematsu, Takuto Kishimoto, Kazuki Harada, Shinichi Watanabe, Katsufumi Sato, Hidetoshi Takahashi.
    • 雑誌名

      電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌)

      巻: 144 ページ: 12-16

    • DOI

      10.1541/ieejsmas.144.12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Wandering albatrosses exert high take-off effort only when both wind and waves are gentle.2023

    • 著者名/発表者名
      Uesaka, L., Goto, Y., Naruoka, M., Weimerskirch, H., Sato, K. and Sakamoto, K.Q.
    • 雑誌名

      eLife

      巻: 12 ページ: RP87016

    • DOI

      10.7554/eLife.87016.3

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] “Biologging intelligent Platform (BiP)” is now open.2024

    • 著者名/発表者名
      Katsufumi Sato, Shinichi Watanabe, Takuji Noda, Takuya Koizumi, Ken Yoda, Yuuki Watanabe, Kentaro Q. Sakamoto, Teijiro Isokawa, Makoto A. Yoshida, Kagari Aoki, Akinori Takahashi, Takashi Iwata, Hideaki Nishizawa, Takuya Maekawa, Ryo Kawabe, Yutaka Watanuki.
    • 学会等名
      The 8th International Bio-Logging Science Symposium
    • 国際学会
  • [学会発表] Effect of body mass on continuous ascent flight to return to breeding grounds in streaked shearwaters.2024

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Harada, Leo Uesaka, Masaru Naruoka, Katsuhumi Sato, Kentaro Q Sakamoto.
    • 学会等名
      The 8th International Bio-Logging Science Symposium
    • 国際学会
  • [学会発表] Development of a nest box for continuous monitoring of a growing seabird chick’s mass and heart rate.2024

    • 著者名/発表者名
      Daiki Uematsu, Takuto Kishimoto, Kazuki Harada, Shunya Hasegawa, Shinichi Watanabe, Kentaro Sakamoto, Katsufumi Sato, Hidetoshi Takahashi.
    • 学会等名
      The 8th International Bio-Logging Science Symposium
    • 国際学会
  • [学会発表] 採餌トリップで北方領土に行ったオオミズナギドリ2024

    • 著者名/発表者名
      長谷川隼也, 原田和輝, 上坂怜生, 坂本健太郎, 佐藤克文.
    • 学会等名
      令和5年度海鳥研究集会
  • [学会発表] 安静時におけるオオミズナギドリの酸素消費速度と心拍数の関係2024

    • 著者名/発表者名
      長谷川隼也, 植松大貴, 原田和輝, 上坂怜生, 坂本健太郎, 新妻靖章, 佐藤克文.
    • 学会等名
      第71回日本生態学会大会
  • [学会発表] Biologging intelligent Platform (BiP) promotes Ocean-scape assessment using marine animals.2023

    • 著者名/発表者名
      Katsufumi Sato, Shinichi Watanabe, Takuji Noda, Takuya Koizumi, Akira Kuwano-Yoshida, Yasumasa Miyazawa.
    • 学会等名
      Japan Geoscience Union Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] Nest box for monitoring the mass and heart rate changes of a growing seabird chick.2023

    • 著者名/発表者名
      Daiki Uematsu, Takuto Kishimoto, Kazuki Harada, Shinichi Watanabe, Katsufumi Sato, Hidetoshi Takahashi.
    • 学会等名
      Transducers
    • 国際学会
  • [学会発表] 巣箱型ワイヤレス給電を用いたバイオロギングシステム.2023

    • 著者名/発表者名
      増田祐一,酒井優希,古謝勝將,坂本健太郎,牧野泰才,篠田裕之.
    • 学会等名
      第66回自動制御連合講演会
  • [学会発表] 海鳥の雛の代謝観察のための心拍計2023

    • 著者名/発表者名
      植松大貴, 高橋英俊
    • 学会等名
      ロボティクス・メカトロニクス講演会2023
  • [学会発表] 海鳥の雛の成長観察のための体重計及び心拍計付き人工巣箱2023

    • 著者名/発表者名
      植松大貴, 岸本卓大, 原田和輝, 渡辺伸一, 佐藤克文, 高橋英俊
    • 学会等名
      第40回センサ・マイクロマシンと応用システムシンポジウム

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi