研究課題
本課題では研究代表者らが実施してきたオルガノイドに関する技術を統合し、広汎な機能喪失を伴う炎症性腸疾患等の消化管難病に対し統合オルガノイド医療 (Integrated Organoid Medicine)を提供可能な基盤技術の開発を目的とし研究開発を実施している。当初計画に従い、本年は「ハイブリッド型腸グラフトの作成・誘導に適した腸上皮オルガノイドの探索と培養法開発」および「ハイブリッド型・非ハイブリッド型iPS細胞由来腸グラフト作成法の開発」を課題に挙げ、各々研究を実施した。その結果、以下の様な成果を得ている。1) クローン病及び潰瘍性大腸炎患者より、それぞれ小腸・大腸由来オルガノイドの樹立を実施した。この際、用いるマトリックス条件に応じて要求される増殖因子が異なることが確認された。また小腸及び大腸よりオルガノイド樹立を行う際に高効率の増殖特性が得られる新規の培養条件を各々同定した。2) ハイブリッド型・非ハイブリッド型iPS細胞由来腸グラフトの作成に際し、必要となる間葉系細胞の誘導・培養法を確立した。同技術と基盤とし、腸上皮を構成する中・後腸スフェロイドと独立した培養系を用いて各々分化誘導を行い、一定系譜への方向付けを行った後に再構成する手法の条件検討を進め、安定して再構成が可能な手法を確立した。3)前記方法で樹立した非ハイブリッド型iPS細胞由来腸グラフトについて、確立済みの方法で超免疫不全マウスの腸間膜に移植・生着させることにより、全層性の腸管組織へと成熟し得ることが確認された。また、同移植系が腸グラフトの生体内成熟を評価する上で安定して運用可能な手法であることも確認された。
2: おおむね順調に進展している
当初計画における患者由来腸上皮オルガノイドの樹立・特性解析や非ハイブリッド型iPS細胞由来腸グラフト作成において複数の新規技術が確立し、新規知見が得られており、当初計画に沿って概ね順調に進捗していると考えている。
本年度計画は概ね順調に推移していることから、当初計画に沿い、次年度以降は引き続き「ハイブリッド型・非ハイブリッド型腸グラフト移植による生体腸管機能の再獲得による消化管難病治療に関する基盤技術開発とProof-of-Concept(POC)の獲得」を行う計画である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)
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