研究課題/領域番号 |
22H00492
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
土屋 賢治 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任教授 (20362189)
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研究分担者 |
友田 明美 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (80244135)
伊東 宏晃 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70263085)
原 武史 岐阜大学, 工学部, 教授 (10283285)
松崎 秀夫 福井大学, 子どものこころの発達研究センター, 教授 (00334970)
戸田 重誠 昭和大学, 医学部, 准教授 (00323006)
高橋 長秀 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (50846714)
大島 郁葉 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 教授 (40625472)
西村 倫子 浜松医科大学, 子どものこころの発達研究センター, 特任講師 (30773791)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 発達障がい / 機能障がい / 自閉スペクトラム症 / 注意欠如多動症 / 出生コホート |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、神経発達症に伴う機能障がいの生物学的および社会心理学的基盤を探索し、神経発達症の診断体系を再構成することである。具体的には、浜松母と子の出生コホートを用いて、乳幼児期の社会・コミュニケーション・日常生活機能の変遷と、その神経発達症の診断閾値に与える影響を検討した(Nishimura et al., Psychiatr Clin Neurosci 2023)。また、幼少期のデジタル曝露と外遊びがのちの機能障害の形成に影響を与える可能性が示された(Sugiyama et al, JAMA Pediatr 2023)。さらに、虐待などの不適切な養育「マルトリートメント」を受けて反応性愛着障害を発症した子どもを対象に、オキシトシン経鼻投与による神経報酬処理への影響を解明し、同障害の病態解明および病態特徴に基づく治療薬開発など、臨床応用への発展に貢献した(Takiguchi et al,Front Child Adolesc Psychiatr 2023)。また、臍帯血中のエポキシ脂肪酸の測定により、臍帯血中のリノール酸とリノール酸由来のジオール・ジヒドロキシオクタデセン酸が低出生体重と有意に負の相関があることが見出された(Umeda et al, Front Endocrinol 2022)。さらに、胎盤病理所見、特に母体側の血管還流不全と胎児側の絨毛成熟の遅延は、児の神経発達の遅延に関連していた(Ueda et al., Sci Rep 2022)。最後に、成人ADHD患者瞳孔径のベースラインにおける左右差について定型発達者(TD)とADHD患者群で複雑性解析を行い、ADHD群でより右側にて有意な複雑性を認めた(Kumano et al, Neural Comput 2022)。これらの研究結果は、神経発達症の理解に新たな視点を提供している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
出生コホートを用いた研究で,当初の想定以上にデータ解析と論文執筆が進捗し,大きな成果をあげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度同様に当初の研究計画に沿った実施を行う。とくに,出世コホート研究では,視線計測を用いた機能障がい指標の探索に力点をおく。
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