研究課題/領域番号 |
22H00499
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
西保 岳 筑波大学, 体育系, 教授 (90237751)
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研究分担者 |
高橋 英幸 筑波大学, 体育系, 教授 (00292540)
藤井 直人 筑波大学, 体育系, 助教 (00796451)
本田 靖 筑波大学, 体育系, 名誉教授 (20165616)
辻 文 県立広島大学, 公私立大学の部局等(広島キャンパス), 准教授 (40707212)
樽味 孝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (40825858)
松井 崇 筑波大学, 体育系, 助教 (80725549)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 高体温誘発性換気亢進反応 / 運動 / 暑熱 / 炭酸水素ナトリウム |
研究実績の概要 |
1)炭酸水素ナトリウム摂取が暑熱下中強度運動時における高体温誘発性換気亢進反応に及ぼす影響について検討した。 対象者は13名の若年健康男性であり、炭酸水素ナトリウム (0.3 g/kg体重) もしくは塩化ナトリウム (0.2 g/kg体重) を摂取後、冷水浸水 (換気亢進の深部体温閾値の検出を可能とする) を行ってから、暑熱下での中強度運動を実施した。その結果、炭酸水素ナトリウム摂取によって換気亢進の深部体温閾値は変化しなかったが、コントロール条件よりも同一深部体温時 (36.8- 38.4°C) の換気量は低下した。以上の結果から、炭酸水素ナトリウム摂取は暑熱下持久的運動時の高体温誘発性換気亢進反応を下方シフトすること、また、低二酸化炭素血症および脳血流量低下、知覚の増加を抑制する方策となる可能性が示唆された。
2) 炭酸水素ナトリウム摂取が受動的安静加温時における高体温誘発性換気亢進反応に及ぼす影響について検討した。 対象者は12名の若年健康男性であり、炭酸水素ナトリウム (0.3 g/kg体重) もしくは塩化ナトリウム (0.2 g/kg体重) を摂取後、上半身の水循環スーツ着用および下半身温浴 (水温~42°C) によって受動的安静加温を行った。その結果、炭酸水素ナトリウム摂取によって換気亢進の深部体温閾値および傾きは変化せず、同一深部体温時の換気量も低下しなかった。一方で、炭酸水素ナトリウム摂取によって動脈血二酸化炭素分圧の指標はコントロール条件よりも高値を示した。しかしながら、炭酸水素ナトリウム摂取によって脳血流量の低下や呼吸努力度の増加は抑制されなかった。これらの結果から、安静加温時において、炭酸水素ナトリウム摂取は高体温誘発性換気亢進反応やそれに伴う脳血流量低下、知覚の増加を抑制しないことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の2つの実験結果が得られた。 1)炭酸水素ナトリウム摂取が暑熱下中強度運動時における高体温誘発性換気亢進反応に及ぼす影響に関する実験から、炭酸水素ナトリウム摂取は暑熱下持久的運動時の高体温誘発性換気亢進反応を下方シフトすること、また、低二酸化炭素血症および脳血流量低下、知覚の増加を抑制する方策となる可能性が示唆された。 2)炭酸水素ナトリウム摂取が受動的安静加温時における高体温誘発性換気亢進反応に及ぼす影響に関する実験から、これらの結果から、安静加温時において、炭酸水素ナトリウム摂取は高体温誘発性換気亢進反応やそれに伴う脳血流量低下、知覚の増加を抑制しないことが示された。 また、幾つかの予備実験を行い、来年以降の研究の準備ができたため。
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今後の研究の推進方策 |
以下の3つの研究を推進する予定である。 1)と2)はすでに予備実験を開始しており、来年度実施予定である。3)については、MRIにおける脳温評価方法について、分担者と検討中であり、来年度にはMRIによる脳温評価の予備実験を行う予定である。 1)β-アラニン摂取が安暑熱下中強度運動時における高体温誘発性換気亢進反応に及ぼす影響 2)暑熱下中強度運動中のカフェイン摂取が高体温誘発性換気亢進反応に及ぼす影響 3)換気亢進反応が脳温に及ぼす影響
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