研究課題/領域番号 |
22H00516
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
河原 吉伸 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (00514796)
|
研究分担者 |
中尾 裕也 東京工業大学, 工学院, 教授 (40344048)
野々村 拓 東北大学, 工学研究科, 准教授 (60547967)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | 機械学習 / 物理インフォームド機械学習 / 非線形動力学 / クープマン作用素 |
研究実績の概要 |
本研究は,現象を記述する数理モデル(順方向的知識)と,現象から取得されるデータ(逆方向的情報)を,その動力学的特性を介して融合的に用いることで,大規模複雑なダイナミクスの精緻な予測(シミュレーション)と正確な制御を実現するための,統計的機械学習を中心とした数理基盤とアルゴリズムの構築を行うものである.特に,動的な予測や制御に関連する機械学習の枠組みを,応用数理分野で最近高い注目を集める作用素論的解析と癒合的に発展・拡張させ,非線形性やマルチスケール性が内在する第自由度ダイナミクスの予測のためのモデル獲得,逐次推論,そして各種制御のための新たな理論・アルゴリズム体系の創出を目的とするものである. この課題に対して,本研究では,(課題1)作用素論的解析に基づく大自由度ダイナミクス予測のための統計的方法の数理基盤構築,(課題2)物理的普遍性を取り入れた統計モデリングや支配方程式に基づく数値計算との融合,及び(課題3)順逆融合による大自由度ダイナミクス制御のための方法論構築・体系化とその検証、の3つの課題を解決することで目標の達成を目指す. 当該年度は,主に(課題1)、特に(Sub1-1)の一部,及び(Sub1-2)として課題設定した,以下の内容について研究を実施した.まず,非線形確率微分方程式で記述される系に対する作用素表現に基づく確率実現理論の構築と,それに基づいて,データからダイナミクス推定を行うための定式化とアルゴリズム構築について進めた,さらに,この作用素表現に基づき,逐次ベイズ推論の無限次元の枠組みへの拡張を行うための定式化を進めた.その上で,これらについての実装を行い,数値的な検証のための準備を進めるための実験の準備を進めた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のように,当該年度は,主に(課題1)、特に(Sub1-1)の一部,及び(Sub1-2)として課題設定した,非線形確率微分方程式で記述される系に対する作用素表現に基づく確率実現理論の構築と,それに基づくデータからのダイナミクス推定のための定式化とアルゴリズム構築,及びこの作用素表現に基づいた逐次ベイズ推論の定式化を進めた.またその上で,これらについての実装を行い,数値的な検証のための準備を進めるための実験の準備を進めた.計画当初では,上記実験について当該年度で開始する予定であったが,定式化に予想以上の時間がかかるとともに,必要な機器の購入の遅れなどの要因も重なり,一部の準備が進んだ段階までしか進捗が得られなかった.
|
今後の研究の推進方策 |
必要な定式化には一定の目処がたっており,その実装や検証方法についても検討は一定程度できている状況である.また必要な機器の購入も2年度目に実施できる予定であるので,これらについて順次取り組み,当初予定していた実験的検証を進めたいと考えている.
|