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2022 年度 実績報告書

リカレント時空間次元圧縮を組み込んだヒトのような人工触覚システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22H00542
研究機関立命館大学

研究代表者

野間 春生  立命館大学, 情報理工学部, 教授 (00374108)

研究分担者 東山 篤規  立命館大学, OIC総合研究機構, 教授 (00118001)
佐藤 克成  奈良女子大学, 工学系, 准教授 (00708381)
島田 伸敬  立命館大学, 情報理工学部, 教授 (10294034)
秋田 純一  金沢大学, 融合科学系, 教授 (10303265)
大井 翔  大阪工業大学, 情報科学部, 講師 (40824636)
安藤 潤人  立命館大学, 情報理工学部, 助教 (50899797)
寒川 雅之  新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70403128)
松村 耕平  立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (80629600)
北野 勝則  立命館大学, 情報理工学部, 教授 (90368001)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード触覚 / MEMS / FPGA / Echo State Network
研究実績の概要

ヒトの触覚は、対象物に触れながら機械的刺激を知覚することでその物体の細やかな形状や表面状態を触り心地として検出できる。本研究では触覚受容器から「知覚」する信号処理機構と、触覚を「認識」するための認識処理機構の2段構成システムによって、ヒトのように高速多入力処理可能な触覚信号処理システムの実現を目指す。本研究室において開発された人工触覚受容器である MEMS 触覚センサは、ヒトの触覚受容器に相当する密度で分布させることが可能なサイズを実現している。一方、先行研究におけるセンサの読み出し回路は、典型的なホイートストンブリッジを使ったアナログ回路であるが、この構成では、回路規模や消費電力の観点から対応できる触覚受容器数に限りがあった。これを解決するために、本研究では MEMS 触覚センサの抵抗値変化をデジタルパルスの密度として出力し、タスクや状況に合わせて再構成可能なパルスベースの触覚情報処理システムの開発を目指した。ここでは、まず Field Programmable Gate Array(FPGA) 上にデジタルパルスを用いる Spike Perceptron を構成し、MEMS 触覚センサからの入力を専用ハードウェアによって処理する基本的な枠組みを提示した。また、ソフトウェア上で学習した Multi-Layer Perceptron(MLP) のパラメータを Spike Perceptron に適用することで、その動作を確認した。加えて、各Spike Perceptron が非同期的に動作する Asynchronous Spike Perceptron をFPGA 上に実装し、MLPに限らずリカレント構造をもつ Echo State Network(ESN) といったより複雑なモデルをハードウェア上に構成し、同様に動作を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

FPGAでの触覚センサのパルス駆動回路、並びに、スパイク駆動ニューロンの開発を完了し、それを従来の階層型のニューラルネットワークとEcho State Networkで動作することが確認できた。基本構成としては今後はそのスケールアップであり、初年度としては大きな進展を確保できた。
また、別に進めるEcho State Networkを活用したネットワークでの触覚動作識別の結果を組み合わせることで、翌年度以降の計画を促進できる。

今後の研究の推進方策

新たな検知素子として、圧電効果を導入し、計測性能を向上させると共に、それをニューラルネットワークに投入する手段を開発する。圧電効果については、協力機関からフィルム型の素子の提供を受けてこれをMEMS構造に組み込む。次に、信号の出力は一般的には電圧であるが、これを現状で開発を進めるパルス駆動に変換する回路の試作も進める。これらは抵抗型の検知素子と共に、パルス出力を可能として、その結果を後段の認識回路に投入するためのパルス-シリアル変換回路も開発する。次に、スパイク駆動のニューラルネット回路については、より大規模かつ入出力ピンを活用できるFPGAを用いて、大規模なリザーバーニューラルネットワークをハードウェアとして構築する。さらに,これらのハードウエアを活用して、対象物体のなぞり識別ネットワークを開発する。ここでは、個別の素材を認識する仕組みではなく、人間の認識結果を参考にした素材グループに識別すること、さらに未知の素材に触れた時に、人間同様に識別が可能となる仕組みを計量学習を用いて実装する。さらに、これらのニューラルネットワーク処理のなかで得られる中間特徴量と人間の感性を比較する研究も進める。

備考

MEMS触覚センサに関する紹介ページ

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 物理的・化学的耐久性兼備フッ素エラストマ/PDMS封止カンチレバー型触覚センサ2022

    • 著者名/発表者名
      髙橋 佑司, 髙橋 拓海, 安部 隆, 野間 春生, 寒川 雅之
    • 雑誌名

      Electronics and Communications in Japan

      巻: 142 ページ: 91-96

    • DOI

      10.1541/ieejsmas.142.91

    • 査読あり
  • [学会発表] MEMS触覚センサを用いたスマートフォン向け背面インタフェースの開発2023

    • 著者名/発表者名
      三木 克人, 船橋 佑, 安藤 潤人, 寒川 雅之, 野間 春生
    • 学会等名
      Interaction2023
  • [学会発表] 2方向の振動合成が可能な液体金属を封入した電磁ソフトアクチュエータ2023

    • 著者名/発表者名
      清水 真陽, 新藤 尚輝, 安藤 潤人, 野間 春生
    • 学会等名
      Interaction2023
  • [学会発表] 指先で奏でるTrace Synthesizerの開発2023

    • 著者名/発表者名
      齋藤 竜也, 君塚 紘喜, 宇佐美 雄生, 安藤 潤人, 田中 啓文, 野間 春生
    • 学会等名
      Interaction2023
  • [学会発表] リザバーコンピューティングによる触覚情報に基づく紙めくり判別2023

    • 著者名/発表者名
      坪倉 奏太,安藤 潤人,北野 勝則,野間 春生
    • 学会等名
      第70回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 40個のカンチレバーを用いた高集積触覚センサ2023

    • 著者名/発表者名
      細川 陽史,川﨑 雄記,安部 隆, 野間 春生, 寒川 雅之
    • 学会等名
      令和5年電気学会全国大会
  • [学会発表] FPGA-BASED ASYNCHRONOUS SPIKE PERCEPTRON FOR TINY MEMS TACTILE SENSORS2023

    • 著者名/発表者名
      Masanori Aoki, Tatsuya Saito, Mitsuhito Ando, Masayuki Sohgawa, Tomonori Izumi, Junichi Akita, Haruo Noma
    • 学会等名
      TRANSDUCERS’23
    • 国際学会
  • [学会発表] 科学的トレーニングのための 足裏にかかる荷重計測システムの開発2022

    • 著者名/発表者名
      船橋 佑, 安藤 潤人,野間 春生
    • 学会等名
      ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2022
  • [学会発表] FPGAを用いたMEMS触覚センサのためのパルス密度変換器の開発2022

    • 著者名/発表者名
      齋藤 竜也, 青木 雅典,安藤 潤人,寒川 雅之,秋田 純一,野間 春生
    • 学会等名
      ロボティクス・メカトロニクス 講演会 2022
  • [学会発表] 人を目指す触覚センサの研究動向2022

    • 著者名/発表者名
      野間 春生
    • 学会等名
      第83回応用物理学会秋季学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 触覚ディスプレイのための流体金属を用いた電磁ソフトアクチュエータの開発2022

    • 著者名/発表者名
      新藤 尚輝, 安藤 潤人, 野間 春生
    • 学会等名
      第27回日本バーチャルリアリティ学会大会
  • [学会発表] リザバーコンピューティングによる食材刺突時の把持力に基づく食材判別の改善2022

    • 著者名/発表者名
      坪倉 奏太, 安藤 潤人, 北野 勝則, 野間 春生
    • 学会等名
      第27回日本バーチャルリアリティ学会大会
  • [学会発表] 荷重ベクトル計測のための触覚センサのカンチレバー設計最適化による高感度化2022

    • 著者名/発表者名
      川﨑 雄記,高橋 佑司,安部 隆,野間春生,寒川 雅之
    • 学会等名
      第39回「センサ・マイクロマシンと応用システム」シンポジウム
  • [学会発表] FPGA Implementation of Spiking-MLP for MEMS Tactile Sensors2022

    • 著者名/発表者名
      Masanori Aoki, Sota Tsubokura, Mitsuhito Ando, Masayuki Sohgawa, Junichi Akita, Haruo Noma
    • 学会等名
      AsiaHaptic2022
    • 国際学会
  • [学会発表] 目あるいは指を用いて探索された面の材質―ALSCALを用いて―2022

    • 著者名/発表者名
      東山 篤規, 野間 春生, 矢野 佑奈
    • 学会等名
      第133回関西心理学会大会
  • [図書] ハプティクスとその応用 ―力触覚の伝送・記録・再現・表示―2022

    • 著者名/発表者名
      寒川 雅之、野間 春生
    • 総ページ数
      340
    • 出版者
      シーエムシー出版
    • ISBN
      978-4-7813-1686-4
  • [備考] MEMS Tactile Sensor

    • URL

      https://sites.google.com/mxdlab.net/mems-tactile-sensor/english

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公開日: 2023-12-25  

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