研究課題
本年度においては、チェルノブイリ原発事故以降の長期間にわたる環境影響評価を継続することを目的とし、ヨーロッパ河川における放射性セシウムの流出状況に関する包括的な調査を実施した。本年度は,現地調査として,イギリスにおける既存調査流域の再サンプリング,フィンランドにおける既存調査流域の再サンプリングを行った。そしてそれらのサンプルを空輸し,Cs-137, K+, NH4+等の測定を行った。調査とともに,現地研究者(イギリス Portsmouth Univ. Liverpool Univ.,フィンランド,Radiation and Nuclear Safety Authority in Finland)とも協働して調査を行った。その結果,化学組成とCs濃度についての相関が弱いという興味深い結果を得た。繰越金を利用した研究としては,福島県内の浪江および川俣の試験流域において、源流域のCs-137濃度とK+、NH4+およびDOCとの相関を詳細に分析した。さらに,河川に関する既存資料の統合的解析及び現地調査を行った。解析結果は、源流域における放射性セシウムの挙動と有機物分解の関連性についての新たな知見を提供しており,本研究の方向性の1つを導き出すものとなった。本年度の研究により、ヨーロッパおよび日本の河川環境における放射性セシウムの広範なデータベースを構築することができた。これにより、本研究目的「福島の水はなぜきれいなのか」の達成に近づくことができた。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的である「福島の河川水がなぜきれいになったのか」を解明するための、海外サンプリングが順調に推移しているため。
今後,海外のサンプリングを継続するとともに,水質,同位体等の測定,また水循環モデリングを介して,福島の河川水がなぜきれいになったのかを明らかにする。その上でその成果を高インパクトファクター雑誌に投稿する。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件)
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