研究課題/領域番号 |
22H00575
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
森 隆昌 法政大学, 生命科学部, 教授 (20345929)
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研究分担者 |
酒井 幹夫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00391342)
佐藤根 大士 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00583709)
北村 研太 法政大学, 生命科学部, 助手 (00850455)
小鍋 哲 法政大学, 生命科学部, 准教授 (40535506)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | スラリー / 凝集 / 直流電場 |
研究実績の概要 |
様々な粒子のスラリーに直流電場を印加し、粒子凝集効果並びに粒子沈降促進効果を評価した。粒子凝集効果については、電場印加後のスラリーの粒子径分布測定及び沈降試験から凝集体サイズを評価した。沈降促進効果については、電場印加中のスラリー界面位置の経時変化をデジタルカメラで撮影し解析した。特に電場印加中の電極近傍で観察された無粒子層の上昇挙動を観察した。電場印加中のスラリー槽の変化として、スラリーのpH変化及び電極付近のpH変化を測定した。その結果、粒子の凝集効果に粒子の材質依存性があるのは、粒子のゼータ電位のpH依存性と電場印加中の電極付近のpH変化が関係していることを明らかにした。電場印加後のスラリーの沈降試験から、電場印加中に形成された凝集体は電場印加後もそのまま残り、凝集体単位で沈降することが明らかとなった。さらに、粒子沈降促進効果には凝集体形成による沈降速度の増加のみならず、電極近傍に形成される無粒子層が寄与していることを明らかにした。無粒子層の形成は粒子が帯電していることに起因して起こることが明らかとなったことから、この沈降促進効果は粒子凝集効果が見られないスラリーについても機能すると考えられ、今後の応用可能性を広げることができた。 さらに多層傾斜板電極付き沈降槽によりシリコンスラッジの分離実験を行い、電場印加条件が分離効率に及ぼす影響を調査した。印加電圧を大きくすることで粒子の沈降促進効果を増大させ、スラリー供給量を増加させても連続分離できることを明らかにした。さらに、既存の沈降槽に多層傾斜板電極を後から備え付ける可能性を考慮し、投げ込み式の多層傾斜板電極を設計した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り様々な粒子について、電場による粒子凝集効果及び沈降促進効果を系統的に評価することができ、現象を統一的に記述できるモデルを構築できた。多層傾斜板電極付き沈降槽による実験も進んでおり順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
直流電場による粒子凝集効果及び沈降促進効果を記述できるモデルを完成させ、粒子の基本物性(ゼータ電位など)から分離挙動及び分離効率を予測できるかを明らかにする。引き続き粒子種類やスラリー条件が電場による粒子凝集効果及び沈降促進効果に及ぼす影響を系統的に調査するとともに、凝集効果については凝集体サイズをより精密に測定できるように測定方法を含め検討する。 多層傾斜板電極付き沈降槽についても、槽内の粒子挙動をより定量的かつ精密に取り扱えるようなモデルの構築を目指す。多層傾斜板電極付き沈降槽の1つのセルを模擬した単一傾斜セルを試作し、電場印加条件、及び、装置条件が流れ場中の粒子凝集挙動及び沈降挙動に及ぼす影響を定量的に解明する。矩形セルによる静止状態にあるスラリーへの電場印加時に起こる粒子凝集効果、沈降促進効果から、単一傾斜セルにおける電場印加中の粒子挙動を予測できるモデルを構築し、さらに、多層傾斜板電極付き沈降槽の挙動が予測できるようにモデルを拡張することを試みる。また設計した投げ込み式の多層傾斜板電極を試作するとともに、容器内に設置しスラリー中の粒子の沈降促進が可能かどうかについても検討する。
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