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2023 年度 実績報告書

極端気象の影響が評価可能な月別・1km解像度の全球コメ収量データプロダクトの作成

研究課題

研究課題/領域番号 22H00577
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

飯泉 仁之直  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (60616613)

研究分担者 酒井 徹  国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 主任研究員 (40401278)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードコメ収量 / 全球データプロダクト / 衛星リモートセンシング / 作物モデル / 極端気象影響
研究実績の概要

当初計画では2023年度には全球コメ収量データプロダクト第1版の作成と品質確認を予定していた。しかしながら、収量推定における重要な入力である気象データなどについて大きな情勢変化があったため、第1版の作成を延期し、情勢変化に対応した。

具体的には、本研究の立案時に使用を想定していた気象データはTerraClimateと呼ばれるプロダクトであり、全球4km・月別解像度であった。2023年6月にCHELSA-W5E5と呼ばれる全球1km・日別解像度の気象データが公表された(https://doi.org/10.5194/essd-15-2445-2023)。TerraClimateでは捉えることが困難な日々の気象変動と作物生育への影響をCHELSA-W5E5では捉えることができると期待される。そこで、使用する気象データをCHELSA-W5E5に切り替えることとした。

CHELSA-W5E5は38年間(1979-2016年)のデータが利用可能だが、本研究で計画しているコメ収量データプロダクトは直近の期間(2020年以降)についてである。このため、直近の期間の気象再解析値にCHELSA-W5E5の長期平均値を基準値としてバイアス補正と統計的ダウンスケーリングと呼ばれる処理を施し、2020年以降について1km・日別値の再解析値を作成した。使用した再解析値は気象庁のJRA-55と呼ばれるプロダクトである。CHELSA-W5E5のデータ量は7.4テラバイト(TB)あり、単純な計算であっても相当の計算負荷がかかる。このため、基準値は10年間(2007-2016年)とやや短く設定した。また、Climate Data Operators(CDO)と呼ばれる気候データ処理ツールを新たに導入し、計算の高速化を図った。2024年度には1km・日別のJRA-55を入力としてコメ収量を推定する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究に関連する分野で大きな情勢変化が2つあり、それらに対応したため進捗が当初の予定から遅れている。

情勢変化の一つは、研究実績の概要で既に述べたように、気象データを本研究の立案時に想定していたTerraClimate(全球4km・月別)から2023年に公表されたCHELSA-W5E5(1km・日別)に切り替えたことである。

もう一つは、北京師範大学の研究グループがアジア域・21年間(1995-2015年)を対象とした4km・年別解像度のコメ収量データプロダクトAsiaRiceYield4kmを2023年に公表したことである。AsiaRiceYield4kmは衛星データと農業統計を入力として作成されており、本研究のようにプロセスモデルは使用されていない。また、年別データであり、熱帯低緯度地域で行われている2期作や3期作を明示的に捉えることは難しいと考えられる。このように、AsiaRiceYield4kmについて理解を深め、本研究で作成するデータプロダクトの相対的な強み・弱みを改めて明確にする対応を取った。

今後の研究の推進方策

2023年度までに年収穫回数の推定、水田面積の推定については手法が確立した。収量推定については平年収量とそこからの年々の変動(収量偏差)をそれぞれモデル化する手法を提案し、現在、論文Aが査読中である。また、機械学習により収量推定を行う場合、推定値が学習データとして用いた収量値に強く依存する問題点を明らかにし、現在、論文Bが査読中である。それらの知見をベースとして収量推定手法について検討を進め、衛星データとプロセスモデル出力値、圃場試験データ、機械学習を組み合わせる手法についてはほぼ確定した。その手法を用いて2024年度はコメ収量データプロダクトを作成する。また、圃場試験データについても国際稲研究所(IRRI)の研究者からデータ提供を受けられることになったため、2024年度はIRRIを訪問し、データを確実に入手してデータプロダクトの作成に役立てる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Increasing heavy rainfall events and associated excessive soil water threaten a protein-source legume in dry environments of West Africa2024

    • 著者名/発表者名
      Iizumi Toshichika、Iseki Kohtaro、Ikazaki Kenta、Sakai Toru、Shiogama Hideo、Imada Yukiko、Batieno Benoit Joseph
    • 雑誌名

      Agricultural and Forest Meteorology

      巻: 344 ページ: 109783~109783

    • DOI

      10.1016/j.agrformet.2023.109783

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Global modeling of SDG indicators related to small-scale farmers: testing in a changing climate2023

    • 著者名/発表者名
      Nozaki Noriko、Hosokawa Nanae、Doi Yasuhiro、Kim Wonsik、Iizumi Toshichika
    • 雑誌名

      Environmental Research Communications

      巻: 5 ページ: 031006~031006

    • DOI

      10.1088/2515-7620/acc3e2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] High-temperature indicators for capturing the impacts of heat stress on yield: lessons learned from irrigated wheat in the hot and dry environment of Sudan2023

    • 著者名/発表者名
      Iizumi T、Tsubo M、Maruyama A、Tahir ISA、Kurosaki Y、Tsujimoto H
    • 雑誌名

      Climate Research

      巻: 89 ページ: 85~98

    • DOI

      10.3354/cr01709

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 機械学習(ランダムフォレスト)による収量推定の学習データ依存性2024

    • 著者名/発表者名
      眞崎良光, 飯泉仁之直, 酒井徹, 大吉慶
    • 学会等名
      日本農業気象学会2024年全国大会
  • [学会発表] 衛星高度計を用いたカンボジアにおける洪水氾濫原の水位変化2023

    • 著者名/発表者名
      酒井徹, 張可, Thav Sopheak, 飯泉仁之直, 眞崎良光, 大吉慶
    • 学会等名
      システム農学会2023年度大会

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公開日: 2024-12-25  

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