研究課題/領域番号 |
22H00578
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山口 有朋 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究部門付 (90339119)
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研究分担者 |
佐藤 修 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (20357148)
三村 直樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (50358115)
日吉 範人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (50415733)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | バイオマス利活用 |
研究実績の概要 |
非可食性バイオマスであるリグノセルロース(木質バイオマス)のセルロース・ヘミセルロース・リグニンの全成分を、それぞれの化学構造および反応性の違いを利用し有用化学物質に変換する技術開発を行い、植物が成長の際に取り込んだ二酸化炭素をすべて化学品原料に変換することを目的とする。具体的には、木質バイオマスを反応物として担持金属触媒を用い、低い反応温度でセルロース・ヘミセルロースの水素化分解による糖アルコールへの変換、続いて、より高い反応温度でリグニンの分解反応による芳香族化合物への変換を実現する。 本年度は、リグニン分解用の高性能触媒を開発するとともに、その触媒を用いてセルロースを同じ条件(400 ℃)で処理することにより、芳香族化合物が生成することを見出した。っより低温でも反応は進行し、300 ℃においてセルロースの変換反応を各触媒で行ったところ、主にベンゼン、トルエン、フェノール、クレゾールが生成した。その他、非フェノール類としてアルキルベンゼン、フェノール類として、アルキルフェノールが生成した。この反応条件では、Pd/Cを用いた時に最も芳香族モノマーの収率が高くなった(収率4.0 %)。また、Pt/C、Rh/Cを用いた時も、芳香族モノマーへの変換に対し触媒作用を示すことが明らかになった。本研究により、リグニン分解と同様の反応条件において、芳香環をもたないセルロースからも芳香族モノマーへ変換可能であることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、木質バイオマスを担持金属触媒を用いて処理することにより芳香族化合物を製造ことを検討した。特にリグニンの分解のみならず、セルロースを担持金属触媒と処理することにより、芳香族化合物を生成することを見出した(RSC Advances, in press.)。
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今後の研究の推進方策 |
木質バイオマスを反応物として担持金属触媒を用い、低い反応温度でセルロース・ヘミセルロースの水素化分解による糖アルコールへの変換、続いて、より高い反応温度でリグニンの分解反応による芳香族化合物への変換を実現するために、両方の反応に高い活性を示す担持金属触媒を新たに開発する。
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