研究実績の概要 |
原料ガスのメチルアミン(MA)、ハロゲン化水素、ならびに希釈ガスのヘリウムの流路ならびに金属Biを溶融させるセラミックスボートを加熱する電気炉、石英またはSUS316反応管から構成される装置を製作した。反応管は2つの部分からなり、上流側の高温部では金属原料の融解とハロゲン化を行った。原料であるBi源とMAを衝突混合し、下流の製膜部で製膜を行った。 反応管内にビスマスをボートに入れて設置し、電気炉で442 °Cに加熱してビスマスを溶融させた。Heで希釈したHIを供給し、溶融ビスマスとハロゲン化水素との反応でヨウ化ビスマス(BiI3)を気体で反応場に供給できることを確認した。生成したBiI3をHeで希釈し、未反応のHIとともに混合部へ供給した。混合部ではHeで希釈したMAと衝突混合させて製膜部へと供給した。2BiI3 + 3HI + 3MA → MABIの反応が起こり、TiO2付きFTOガラス基板(アステラテック)にMABI薄膜の製膜を行った。 HI流量0.39, 0.78, 1.60 sccmで60 min製膜実験を行った。HI流量が0.78 sccm, MA流量が0.26 sccmのとき橙色の薄膜が得られ,XRDパターンはMABIとメチルアンモニウム(MAI)のリファレンスとよく一致し、新規開発したCVDプロセスでMABI薄膜の製膜に成功したことを確認した。また、UV-vis-NIRスペクトルのTaucプロットで、波長560 nm以下(光子エネルギー2.2 eV以上)の光を吸収していることを確認し、これはMABIの文献値とよく一致している。 また、成膜部温度の探索で、管内温度が140~180 °CでMABI薄膜が製膜できることを確認した。
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