研究実績の概要 |
低線量率放射線照射装置を長崎大学内に保有していないため、採択後に広島大学での照射を依頼したが、広島大学での関連倫理委員会の申請と審査手続きが時間を要したため、計画していた健常C57BL6マウスを用いた低線量率の照射と解析はできなかった。代わりに、以下の代案で研究を行った。 1、 0.02 Gy/で250日間照射、または0.1 Gy/日で50日間照射したC3/B6N-F1-ApcMin/-マウスから採集した骨髄および肝臓組織標本(凍結)を用いて、 免疫染色法で細胞傷害(53BP1 およびγ-H2AX)、細胞老化(p16INK4A)、および炎症性関連受容体(TNFR, CXCR)の発現量をで定量評価した(データ集計中)。また、電子伝達系複合体の発現量についてもイムノブロット法で測定し、定量集計中である。 2、健常C57BL/6マウスを用いて、低線量率でない放射線照射を0, 2, 10, 50, and 250 mGy 日で30日間を行い、照射終了3か月後にマウス骨髄単核球細胞からc-kit陽性幹(前駆)細胞を単離し、ミトコンドリア機能(mitochondrial respiratory chain complexes I, II, III, IV, V) の発現を調べた。その結果、残念ながらその発現量は有意な変化が認められなかった。 3、健常C57BL/6マウスを用いて、高放射線照射による肺線維化と組織間葉系幹細胞機能傷害を調べた。その結果、放射線による肺線維化誘導機構の解明や組織間葉系幹細胞機能傷害の緩和方法など多くの成果と知見を得られた。
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