研究課題/領域番号 |
22H03465
|
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
小笠原 理紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (10634602)
|
研究分担者 |
今井 祐記 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (10423873)
大石 勝隆 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (50338688)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | サルコペニア / ミオシンシャペロン / UNC45B / 筋力 / アデノ随伴ウィルス |
研究実績の概要 |
本年度は,骨格筋・時期特異的Unc45b欠損マウスの作製に向けてUnc45bのfloxマウスを作製した. また,加齢に伴い減少するUnc45bのshRNA発現AAVベクターを用いて若齢マウスの下腿三頭筋においてUnc45bをノックダウンしたところ(8割程度タンパク質発現量が低下),まず筋力が低下し(AAV投与2週間後),遅れて筋量の減少(AAV投与8週間後)が観察された.これらの変化はヒト筋力・筋量の加齢変化に類似したものである.ただし,筋力低下のメカニズムとして,Unc45bがミオシンシャペロンであることから筋原線維機能の低下を想定していたが,カルシウムイオン誘発性のスキンドファイバーの発揮張力に変化は観察されなかった.以上から,UNC45Bタンパク質には未知のメカニズムを介した筋力調節メカニズムが存在することが示唆された. Unc45bのノックダウンにより筋力・筋量ともに低下していたAAV投与8週間後に,下腿三頭筋の近傍にある脛骨の骨密度について解析したところ,骨密度の低下が観察された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
想定外の筋力低下メカニズムが存在することを示唆する結果を観察しているものの,おおむね予定通りに進捗している.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度作製したUnc45bのfloxマウスを骨格筋特異的にCreリコンビナーゼを発現する(HSA-Cre-ER)マウスと交配し,時期特異的に全身骨格筋においてUNC45Bを欠損可能なマウスを作製する. Unc45bノックダウンによる筋力/筋量の低下がミトコンドリアや運動による骨格筋適応に及ぼす影響を検討する. 加齢に伴うUnc45b減少のメカニズムについて,転写因子の探索などから検討を進める. Unc45bによる未知の筋力調節メカニズムについて,UNC45Bタンパク質の結合タンパク質の探索などから検討を進める.
|