本研究の目的は、大学が独自に行う外部評価の要件・評価手法・成果を実務担当者の視点から調査・分析し、内部質保証の有効化に資する外部評価のあり方を明らかにすることをテーマとして取り組んだものである。なお、本研究の「外部評価」は機関別認証評価ではなく、大学が独自に評価者・ステークホルダーを選出し、評価を受けることを意味する。本研究は、大学や自治体の外部評価や各評価理論に関する先行研究の分析を行い、外部評価のきっかけや目的、外部評価の概要、外部評価委員、外部評価の活動について半構造化インタビューと全国の全ての大学に対する調査を実施した。 半構造化インタビューからは、外部評価が内部質保証の有効性や客観性を高めるだけではなく、教育等の各種取り組みの向上、地域からの理解と評価の3つの機能があることが示唆された。また、外部評価を大学の諸活動の改善に資するためには、委員に対する説明や知識理解のための理解、高等教育関係者の関与などが効果的であるという意見があった。 半構造化インタビューを受けて実施した外部評価に関する全国大学調査からは、私立大学では補助金がきっかけで実施した大学も少なくないことがわかった。また、外部評価は委員会形式で毎年度実施している大学が多く、大学の教育研究活動について、プロセス・アウトカム・アウトプットに対する評価を実施している。これらの調査結果から、内部質保証に資するための外部評価のあり方としては、既に教育改善などに資していることから、重要なのは評価の質を高めるための工夫である。例えば、評価の実質化のための運営と準備が重要であり、評価委員の人選の重要性と事前知識や課題の理解が不可欠である。また、評価については、何を評価してもらうかといった課題設定や評価項目の粒度、外部評価に提出する自己点検・評価報告書などが求められることが求められる。
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