本研究は行動経済学の見方・考え方を活用したジェンダー教材を開発し、授業実践を行い、生徒の変容を捉えるものである。これまのジェンダー教材は正しい知識・技能を習得すればジェンダー平等が解決に向かうことを前提としており、無意識的なバイアスがあるために格差が存在することには踏み込まれていなかった。筆者は行動経済学の見方・考え方を授業に取り入れることで生徒が社会的事象をより深く捉えられるという仮説のもと、教材の開発・実践及び検証を行なった。研究の結果、教材の一定の有用性を確認できたが、深化させる余地が多分にあることが明らかになった。より精緻な授業の効果測定とジェンダー教材の充実を今後の課題としたい。
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