マシニングセンタの熱変形対策として構造部間に断熱材を使用した場合の断熱効果を明らかにするには、CAEを用いた熱解析が有効である。しかし、CAEを用いて熱解析を行う場合、接触面で熱の流れが阻害される接触熱抵抗が重要になってくるが、この値の推定が難しく解析精度の低下の一因となっていた。本研究では、基礎実験による測定とCAE解析から断熱材の接触熱抵抗の値を把握し、得られた接触熱抵抗の値をマシニングセンタの3Dモデルに適用し、CAE解析により主要構造部間に断熱材を使用した場合の断熱効果を解明した。 基礎実験として鋳鉄(FC250)と一般構造用圧延鋼材(SS400)の平板間に断熱材を挟み、発熱源としてラバーヒーターを使用しSS400に貼り付け、各部材における熱流束と温度を測定した。断熱材はガラスエポキシとシリコンで検証した。実測値から各断熱材の接触熱抵抗値を算出してCAE解析を行った。実測値と解析値で断熱材の効果は表れており、実測値とも同様の傾向が得られたため、解析条件としての接触熱抵抗の値は妥当であった。 基礎実験の解析結果を基に接触熱抵抗値をマシニングセンタの3Dモデルに適用し、クーラントパンとベッド間に各断熱材を使用した場合のCAE解析を行った。解析結果の比較のため、マシニングセンタのベッド側面を熱電対で実測した。クーラント流路に熱源を付加しCAE解析した結果、断熱材断無しの場合のベッド側面は約5℃上昇したが、断熱材を使用した場合の上昇値は1.5℃に抑えられており、断熱効果が表れていた。接触熱抵抗を把握することでCAE解析精度を高められ、マシニングセンタの他の主要構造部間に断熱材を使用した場合でも断熱効果を検証できるようになった。
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