研究実績の概要 |
本研究では、周波数選択的な超遠隔相関NMR法を用いることで、塩基部が修飾された核酸アナログ化合物の構造解析迅速化が可能か検証することを目的とした。測定試料には、免疫抑制薬として知られるAzathioprineのDMSO-d6溶液を用いた。NMR装置は、Bruker AVANCE III, 600 MHz, TCI CryoProbeを使用した。 まず、LR-HSQMBC(Long-Range Heteronuclear Single Quantum Multiple Bond Correlation)測定に対し、NUS(Non-Uniform Sampling)法の適用を試みた。サンプリングポイント数を種々検討した結果、サンプリングポイント数を50%に削減すると、超遠隔相関を観測することは出来たが、通常測定と比較しピーク強度が低下することが分かった。特に通常測定において微弱な超遠隔相関ほど、ピーク強度が顕著に低下する傾向があることが分かった。サンプリングポイント数を50%よりさらに小さく設定すると(33%、25%)、微弱な超遠隔相関の検出は困難となる場合もあった。LR-HSQMBCスペクトルでは、相関ピーク間の強度差が大きくなる場合が多いことから、NUS法の適用によって測定時間を大幅に短縮することは困難であることが示唆された。続いて、NMR装置に周波数選択的な超遠隔相関法(LR-selHSQMBC)のパルスシーケンスの導入を行った。現在、パルスシーケンスの改変とAzathioprineへの適用を検討している。 本研究成果は、新規核酸アナログ化合物の開発を行う上で有用であると考えられる。
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