これまでの研究から亜鉛輸送体遺伝子を欠損した雌マウスは7週齢までに卵巣内の卵数が減少して不妊となり,ヒトの早期卵巣機能不全と類似した表現型を示した.本研究では,哺乳類における亜鉛シグナル依存的な卵巣機能を分子レベルで明らかにし,卵巣内の卵が枯渇する原因の解明を試みた.その結果,3-7週齢のいずれの週齢においても卵巣重量・卵胞数は低下したが,3週齢では卵巣内に原始卵胞卵が多く確認された.しかし3週齢雌マウスに過剰排卵処置したが採卵できず,卵胞が過剰排卵のホルモンに反応しなかった. 以上の研究結果から,亜鉛輸送体遺伝子を介した亜鉛シグナルが卵成熟過程に重要な役割をもつ可能性を明らかにした.
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