研究課題
非小細胞肺癌に用いられる上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であるオシメルチニブは、1次治療で用いられる代表的な治療薬である。しかし、その一方で薬剤の耐性化や副作用の出現により内服継続が困難となる臨床的課題がある。サイトカインの一種であるインターロイキン-6(IL-6)は、腫瘍進行に関わり、EGFR耐性機序へ関与する。また、IL-1βは、EGFR-TKIの重篤な副作用である間質性肺炎の発症に関与する。本課題では、これらサイトカインの遺伝子多型の違いによって、治療成績にどの程度影響を及ぼすか検討を行った。非小細胞肺がん患者32名を対象とした。HPLC-UV法を用いて定常状態における内服開始後15日目の内服直前、内服後1、2、4、6、8、12、24時間後の血中濃度を測定し、薬物動態パラメータを算出した。PCR-RFLP法を用いて、IL-6 -634G>C、-597G>A、-174G>C遺伝子多型およびIL-6 48892A>C遺伝子多型解析を行い、治療効果の指標である無増悪生存期間PFS、全生存期間OSとの関係性について検討した。さらに、IL-1β -31C>T、-511C>T遺伝子多型と副作用である薬剤性肺炎との関連について検討した。対象患者32名のうち、80mg/日が31名、40mg/日が1名であった。薬剤性肺炎を発症した患者は5名であった。検討したIL-6遺伝子多型の一部で、PFSおよびOSとの関連性を認め、オシメルチニブの血中濃度への影響が認められた。IL-1β遺伝子多型とオシメルチニブによる薬剤性肺炎との間に関連性は認めなかった。今後、さらに症例数を増やし、オシメルチニブの血中濃度に与えるIL-6蛋白量の影響について検討する。
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Investigational New Drugs
巻: 40 ページ: 1254~1262
10.1007/s10637-022-01304-9