本研究では、MTXの治療効果や副作用に関連するとされる赤血球中のMTX-ポリグルタメート(MTX-PGs; MTXにグルタメートが1~7個付加されたもので、付加された数と効果、副作用との検討が加えられている)に着目した。九州大学病院薬剤部における赤血球中MTX-PGs濃度測定系を構築し、赤血球中MTX-PGs濃度を指標としてMTXの副作用や治療効果との関連性を評価する。そしてRA治療におけるMTXの副作用予防・軽減を目的とした葉酸の至適服用量及び服用方法を明らかにすることを目的とした。 九州大学病院別府病院通院中のRA患者を対象とし、これまでにMTXと葉酸を服用している8名をエントリーした。エントリー時の患者背景は、年齢が62±15歳、MTX服用量は10±1.4mg。MTXの服用期間は、8名中7名で1年以上服用していた。RAの疾患活動性は、DAS-28CRPが2.68、DAS-28ESRが3.86で中程度であった。肝機能値はASTが22.5±6.4U/L、ALTが23.3±11.6U/Lであった。 対象患者の血液サンプルは、外来受診時に採血した全血を遠心分離し、-80℃で一旦保存した後、ドライアイス下で九州大学病院別府病院から九州大学病院薬剤部へ輸送した。赤血球中MTX-PGs濃度測定系の構築は、九州大学病院薬剤部現有の液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)を用いて検討した。MTX-PG1~7の各標準品をスパイクした赤血球を用いて検量線を作成し、それぞれの濃度を同時測定できる体制を構築した。現在、MTX-PGsの定量法バリデーション試験を行っている段階である。定量法バリデーション試験後、測定系の信頼性が担保でき次第、RA患者の赤血球中MTX-PGs濃度を測定し、本研究の目的である葉酸の至適服用量及び服用方法を解析する予定である。
|