クモ膜下出血 (SAH) は、脳血管の瘤(脳動脈瘤)が破れて生じる重症疾患である。主な原因は遅発性脳虚血 (DCI) と呼ばれる病態で、根本的な解決策は存在しない。近年、腸管と脳の関与を指す「腸脳連関」が提唱され、腸内細菌の関与が示されている。SAH 後の DCI 発症に腸内細菌が関与すると推測し、SAH マウスモデルを用い、DCI における腸脳連関の解明を目指す事を目的とした。抗生剤の投与で腸内細菌が変化したSAH マウスは、DCI が高度に生じ、神経機能が不良となっていた。本研究によって、抗生剤投与による腸内細菌の変化が、DCIを増悪させ、神経学的機能を低下させることが示された。
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