研究課題
奨励研究
2016年厚生労働省の報告によると、わが国の糖尿病患者数は予備軍も含めて2,000万人と多く、糖尿病の早期発見・治療は重要課題である。本研究では、血清/血漿の乳び値を用いた、より幅広く、コストパフォーマンスに優れた糖代謝異常のスクリーニング法について検討した。検討の結果、乳び群の患者は血糖値・HbA1c値ともに糖尿病型の割合が多かったものの、非乳び群の患者も同等の結果であり、有意差は得られなかった。従って、乳び値を用いた糖代謝異常スクリーニングはさらなる検討が求められる。
検査診断学
さまざまな合併症をきたす糖尿病は早期発見による介入が重要である。最近、強い乳び血を呈する患者では、糖尿病率が高いことが報告された(Mainali et al. Pract Lab Med. 2017)。血漿や血清の乳び値、すなわち濁度が利用できれば、血糖値やHbA1cとは別に、より簡便な糖代謝異常のスクリーニングが可能になると考えられる。本研究の成果では、非乳び群と乳び群で糖尿病型の割合に有意差は認めなかったものの、HbA1cの糖尿病型の割合は乳びの強度に応じて増加傾向にあったことから、糖代謝異常スクリーニングへの利用はさらに検討を進めることで可能になるかもしれない。