新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し保険承認された医薬品は非常に少ない。一方で、『適応外使用』という枠組みで保険承認されていない医薬品がCOVID-19 治療に用いられている。医薬品の適応外使用は安全性が担保されておらず、適切な安全対策を講じる必要がある。しかし、COVID-19 流行下における医薬品適応外使用の実態は明らかにされておらず、各医療機関でどのような安全対策が実施されているかは不明である。そのため、COVID-19 における医薬品適応外使用の実態を明らかにし、その知見を基に適切な安全対策基盤を構築する必要がある。 本研究は、COVID-19 治療における医薬品適応外使用の実態を調査することを目的とした。徳島県内感染対策向上加算1の施設のうち、徳島県感染制御薬剤師研究会に参加している施設を対象に調査を行なった。以下に調査結果を示す。1、地域医療の中心的役割を果たす感染対策向上加算1の施設においても、COVID19における適応外使用を行った施設は少ない。2、COVID-19に対して適応外使用をする場合は、院内で適切な審査を受けた上で使用されていた。3、適応外使用の安全対策として、申請段階から薬剤師が係わる施設もある。4、適応外使用に関して、薬剤師は倫理審査への参画や安全に薬物治療が提供できる環境の整備を行っていた。 本研究の結果は、感染対策向上加算1の施設のみの調査結果であり、病院属性が変われば適応外使用の割合も変化するかもしれない。
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