研究課題
基盤研究(S)
本研究は、ニュートリノとその反粒子のビームをJ-PARC加速器によって生成して、これをスーパーカミオカンデで測定するニュートリノ振動実験(T2K)により、この宇宙の物質反物質対称性(CP対称性)の破れの起源を探るものである。具体的には、従来のT2K実験を高度化して測定精度を向上させることにより、ニュートリノのCP対称性の破れを確定することを目指す。同時に、他のニュートリノ振動実験の測定結果と合わせて、未確定の3種類のニュートリノの質量順序を決定する。
本研究により、ニュートリノでCP対称性が破れていることが確定すれば、宇宙の物質と反物質の非対称の謎を解く鍵を与える画期的な発見となる。この分野は世界的に熾烈な研究競争が行われているが、T2K実験ではすでにニュートリノのCP対称性が大きく破れている示唆が得られており、応募者らは一歩リードして優位な立場にある。本研究による高度化・測定精度向上の実現で、この競争に勝つ可能性が高くなることが十分期待される。