研究課題/領域番号 |
22H04976
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大利 徹 北海道大学, 工学研究院, 教授 (70264679)
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研究分担者 |
小笠原 泰志 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (20732986)
森田 洋行 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (20416663)
濱野 吉十 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (50372834)
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研究期間 (年度) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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キーワード | ペプチドエピメラーゼ / ペプチドグリカン / ラッソペプチド / ポリグルタミン酸 / シュードペプチド / 生合成 |
研究実績の概要 |
天然ペプチド化合物に構造・機能多様性をもたらす以下の新規酵素と生合成機構に着目し解析行った。 ①一部細菌は、ペプチドグリカン生合成で、MurLが中間体UDP-MurNAc-L-Ala-L-Gluの末端L-Gluを異性化する。MurLの反応機構解明のためのX線結晶構造解析に必要な反応中間体を保護基がついた状態まで合成した。②ペプチドMS-271の生合成においてMslHがプレカーサーペプチドのC末端L-TrpをD体に異性化する。その反応機構解明のため結晶構造解析を行った結果、Ca2+に依存した酸塩基触媒反応によることが分かった。③grisemycinはリボソームで生合成されるが複数のDアミノ酸を含む。生合成遺伝子クラスターを異種宿主で発現させた結果、D体アミノ酸を含むgrisemycinが生産されたことから、クラスター中、唯一機能未知のL遺伝子産物が関与すると推定された。④ポリグルタミン酸は4つの膜酵素PgsABCEにより合成されるが詳細な機構は不明である。これまでにL-Gluの重合反応と続く異性化反応によりD-Gluが導入されることを実証した。PgsAが上述のMslH と相同性を示すことから、PgsAの推定活性領域に変異導入した結果、D-Glu比率が変化したことから、PgsAがエピメリ化反応を触媒すると示唆された。⑤negamycinのヒドラジド(N-N-C=O)構造の生成機構を明らかにすることを目的に、これまでN-N結合形成への関与が示されている亜硝酸生成酵素の相同遺伝子を破壊した結果、negamycinの生産が消失したことから、ヒドラジド構造の形成にも亜硝酸が関与することが分かった。⑥ ベラクトシンはシクロプロピルアラニン構造を有する。その生合機構はBelKがL-リジンから6-ニトロノルロイシンへの酸化反応を触媒し、BelLが6-ニトロノルロイシンからニトロシクロプロピルアラニンへの環化反応を触媒することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ペプチド異性化酵素に関しては、MurLの結晶構造解析に必要なアデニル化反応中間体の合成をほぼ達成した(残る反応は保護基を外すのみ)。MslHに関しては結晶構造を基に反応機構を完全解明し、またポリグルタミン酸に含まれるD体GluはPgsAが担うことを明らかにするなど順調に推移している。また、シュードペプチド生合成では、4つの化合物のうち、belactosinのアミノ酸側鎖のシクロプロパン構造の形成機構を明らかにした。また残る3つについても生合成遺伝を同定しており順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように、順調に進展していることから、当初の計画通り推進する。
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