研究実績の概要 |
本研究課題を通じては、日本において金融政策が資産価格・マクロ経済・労働参加に与えてきた影響の3点に着目し研究を行った。まず、資産価格に与える影響に関しては、Gurkaynak, Sack, and Swanson (2005)の手法にもとづくイベントスタディを通じて、低金利環境下での金融政策ショックがより長めの金利に強く影響を及ぼすこと、ならびに株価へ有意に影響を及ぼしていることを確認した。次に、マクロ経済に与える影響に関しては、Gertler and Karadi (2015)の手法を日本に応用し、日本における過去30年間の金融政策が生産・物価に有効に作用してきたことを明らかにした。最後に、労働参加へ与える影響に関しては、前述の手法を応用して「金融引締めに対して、日本では労働参加が減少する一方で、米国では増加する」といった違いを明らかにしたうえで、Erceg and Levin (2014)を拡張する形でニューケインジアンモデルを構築し、賃金硬直性がこの違いに影響していることを示した。
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