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2022 年度 実施状況報告書

〈社会的排除〉と〈言葉の喪失〉はどのように連結しているのか?

研究課題

研究課題/領域番号 22K00012
研究機関大阪大学

研究代表者

村上 靖彦  大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (30328679)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードナラティブ / 現象学的な質的研究 / 障害 / ヤングケアラー / 差別
研究実績の概要

2022年度は、ろうの子どもの支援をするグループの調査と、アイヌの出自を持つ人たちへのインタビュー調査を主に行った。前者においては活動への参加および何人かのインタビューを行っている。後者については3人のインタビューを行い、現在データ分析中である。アイヌの出自のある人の研究については、先住民の植民地化の世代を超えた影響という視点から考えているため、文化人類学や植民地と差別についての文献検討を始めている。
実績としては過年度におこなった調査を分析し、8月に『「ヤングケアラー」とは誰か』(朝日新聞出版社)という、社会的な逆境を経験しながら家族をケアした経験を持つ人たちへのインタビューの分析を行った書物を出版した。彼らの多くが子ども時代にSOSを出す言葉を持たなかった経験を持つ。この出版を踏まえて大阪府寝屋川市や大阪市西成区などいくつかの自治体や学会などで研修を行うとともに、大阪市西成特区構想エリアマネジメント協議会子ども子育て専門部会有識者として提言を行ってきた。そして『小児内科』といった学術雑誌に子ども子育て支援関係の論文としても発表してきている。
また或る刑務所において実施されている受刑者との当事者研究に参加しはじめており、今後当事者研究の効果測定の研究に参加していくことが決まっている。
またオンラインも含めると3つの海外での学会で研究発表を行い、ケアの現象学とヤングケアラーについて報告を行うとともに、ケアの現象学についての知見を求められてフランス・トゥールーズ大学において教授資格審査委員として呼ばれた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定した、著書、論文を出版するとともに、いくつかの口頭発表の機会をえた。さらに6本のインタビューをおこない、データ分析も薦めている。

今後の研究の推進方策

ろうの子どもの支援グループにおける研究は、グループ側の取材対応などの影響で研究が一時中断しているので、2023年度に再開をめざしたい。あと3,4人の支援者および1,2名のご家族のインタビュー調査を予定している。データの分析結果は2024年か2025年に書物として出版したいと考えている。
アイヌの出自を持つ人たちへのインタビューについては、さらに数名を行う予定である。すでにお願いしているデータの分析を2023年度は進めていく。また先住民の植民地化による世代を超えた影響という視点から本研究を行っているため、文化人類学などの文献を調査するとともに、カナダなど海外の状況を学ぶために調査を行う可能性がある。
刑務所において行われている当事者研究については、月例の会に参加するとともに、参与観察と逐語録データの研究利用を申請中であり、許可がおりたときにはこれらのデータ分析を施設及び研究チームで共同で行っていく予定である。当事者研究の発祥の地である浦河べてるの家での研修も視野に入れている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] ネグレクトではなくヤングケアラーである2022

    • 著者名/発表者名
      村上靖彦
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 50,9 ページ: 154-163

  • [雑誌論文] 親への支援から見たネグレクト2022

    • 著者名/発表者名
      村上靖彦
    • 雑誌名

      小児内科

      巻: 54.11 ページ: 1781-1786

    • DOI

      10.24479/pm.0000000444

  • [学会発表] Levinas and a World without Crevices -- Child Support in Poor Areas2022

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiko Murakami
    • 学会等名
      Societe internationale de la Recherche Levinassienne: Levinas in kaunas
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Levinas et le monde sans failles : l'exemple du soutien aux enfants des quartiers pauvres.2022

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiko Murakmai
    • 学会等名
      COLLOQUE DE CERISY. LEVINAS ET MERLEAU-PONTY, LE CORPS ET LE MONDE
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Recherche qualitative phenomenologique des young carers - une etude de la phenomenologie du reel2022

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiko Murakami
    • 学会等名
      3e colloque de psychopathologie phenomenologique
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 記号化される先住民/女性/子ども2022

    • 著者名/発表者名
      石原真衣 (分担執筆:村上靖彦)
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      青土社
    • ISBN
      978-4791774876
  • [図書] 「ヤングケアラー」とは誰か 家族を”気づかう”子どもたちの孤立2022

    • 著者名/発表者名
      村上靖彦
    • 総ページ数
      360
    • 出版者
      朝日新聞出版
    • ISBN
      978-4022631213
  • [図書] 精神分析のゆくえ2022

    • 著者名/発表者名
      十川 幸司、藤山 直樹(分担執筆:村上靖彦)
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      金剛出版
    • ISBN
      978-4772419321

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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