研究課題/領域番号 |
22K00017
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
金杉 武司 國學院大學, 文学部, 教授 (00407660)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 存在論的反自然主義 / 方法論的自然主義 / 反自然主義的道徳実在論 / マクダウェル / ネーゲル / 視点 / 多面説的多元論 |
研究実績の概要 |
存在論的反自然主義の体系的理論としての多面説的多元論が存在論的自然主義に十分に対抗しうる妥当性を持つこと(詳しくは以下の前提★の下での仮説①~⑤)の論証を目的としている。 前提★:哲学的理論の妥当性は方法論的自然主義の観点から評価されるべきである。仮説①:(前提★の下でも)存在論的反自然主義は十分に妥当性を持ちうる理論である。仮説②:存在論的反自然主義の体系的理論の一つとして、研究代表者が「多面説的多元論」と呼ぶ理論を構築し、擁護することができる。仮説③:多面説的多元論に適合する概念論として、研究代表者が「実践内在的概念論」と呼ぶ理論を構築し、擁護することができる。仮説④:多面説的多元論と実践内在的概念論の枠組みの中で、反自然主義的な道徳実在論の理論を構築し、擁護することができる。仮説⑤:多面説的多元論と実践内在的概念論の枠組みの中で、反自然主義的な命題的態度実在論の理論を構築し、擁護することができる。
2022年度は研究実施計画に従い、以下の通り、研究を実施した。1)方法論的自然主義と存在論的自然主義および両者の関係に関する近年の議論をサーヴェイし、議論状況・争点を整理した。2)その上で、方法論的自然主義が妥当であることの論証を試み、その成果の一部を示す著書を執筆・刊行した。3)反自然主義的道徳実在論に関する近年の議論をサーヴェイし、議論状況・争点を整理した。4)T・ネーゲルやJ・マクダウェルの哲学や「視点と世界の関係」に関する研究を参照しつつ、多面説的多元論の基本的な枠組みを構想した。5) 多面説的多元論の枠組みの中で、反自然主義的道徳実在論の理論を構築し、擁護することを試み、その成果を示す論文を執筆・刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の研究実施計画では、上記「研究実績の概要」の1)2)3)のほかに、方法論的自然主義と存在論的反自然主義が両立可能であることの論証も予定していた。しかし、当初は2023年度に実施を予定していた上記「研究実績の概要」の4)5)を前倒しして2022年度に実施することとなったため、その予定を実行をすることができなかった。2023年度に予定していた研究を前倒しした理由は、偶然にもそれらを主題とする論文の執筆機会が生じたという研究計画外的なものであったが、上記の通りに研究計画を変更することは、本研究全体を進行させる上で大きな支障をもたらすものではなかった。それゆえ、総体的に見れば、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
上記「現在までの進捗状況」に記した通り、2023年度には、2022年度に実施予定だった「方法論的自然主義と存在論的反自然主義が両立可能であることの論証」を試み、また2022年度に前倒しした研究以外の2023年度実施予定の研究を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額はごく少額であり、生じた特別な理由はない。
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