研究課題/領域番号 |
22K00035
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松田 毅 岡山大学, 社会文化科学研究科, 客員研究員 (70222304)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | ライプニッツ / 医学 / 存在論 |
研究実績の概要 |
論文「エニグマとしてのモナド」では、モナドを物体から完全に分離するラッセルの解釈を、デ・フォルダー宛書簡での論証に基づき、批判した。そのうえで、「物体に内在するモナド」をライプニッツが自分に近いとした、アン・コンウェイの生物哲学的な「モナド」概念との比較も含めてモナド概念の歴史的起源と現代的位置づけに迫った。この論点は、さらに医学哲学的な観点でボイル、ファン・ヘルモントらの繋がりを通して解明できるものと考えている。 また、前年度に国際学会で報告した報告を発展させ、「時間の「起源」―ライプニッツのデ・フォルダー宛書簡から―」として発表した。この論文では「連続体合成の迷宮」の存在論的解消と神の全知や弁神論で問題となる「予知」をめぐる、初期近世の自然神学の論争的な文脈を踏まえながら、ライプニッツの時間論を浮き彫りにすると同時に、「現実的時間」の起源には自発展開し、運動する力を有するモナドの「生物的存在」があることを示した。 なお、ミュンヘン大学神学部に招待され、Leibniz-Pionier der Oekumene in neuem Lichtの会議で“Analogical Theology or Minakata’s Buddhist Interpretation of Leibniz’s God”の報告を行ったが、その後、会議で示唆された後期スコラ哲学とライプニッツ神学との関連への関心を発展させ「中間知」の理論で知られるLuis de Molinaとライプニッツの関係を「二重化された様相論」として探究しており、2023年夏に第11回国際ライプニッツ学会で報告予定である(受理済み)。 さらに『啓蒙思想の百科事典』の「ライプニッツ」の項目では、ライプニッツの実践的かつ生得的な「知性の光」が、ルソーらに受け継がれている点を示唆した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
定年退職、引っ越し、年度半ばの時期の配偶者の急逝により、生活環境が激変したため、研究に専心することが困難な時期が数ヶ月あったが、年度の後半からは徐々に新しい環境にも慣れてきたので、少しペースを取り戻したが、予定していた医学哲学の本格的研究についてはまだこれからという状況にとどまっている。
|
今後の研究の推進方策 |
代表者は定年退職後、上記のように、身辺環境が激変したが、状況も安定してきたので、今後は研究のペースを上げていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2022年度も、コロナウイルス感染症の影響はなおあったものの、国際学会の発表を行うことができたが、先方からの招待で旅費を負担する必要がなかった。しかし、今年度は国際学会での報告を予定しているので、計画通り予算執行できると考えている。
|