研究課題/領域番号 |
22K00038
|
研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
齋藤 智志 杏林大学, 外国語学部, 教授 (70442019)
|
研究分担者 |
多田 光宏 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 教授 (40413710)
竹内 綱史 龍谷大学, 経営学部, 教授 (40547014)
鈴木 克成 青森中央学院大学, 経営法学部, 教授 (60279487)
山本 恵子 東京造形大学, 造形学部, 教授 (70434248)
伊藤 貴雄 創価大学, 文学部, 教授 (70440237)
高橋 陽一郎 日本大学, 文理学部, 教授 (80333102)
井西 弘樹 敬和学園大学, 人文学部, 講師 (80876219)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ショーペンハウアー / ニーチェ / 同情(共苦) / 共感 / 感情 |
研究実績の概要 |
2023年8月21日~23日に青森中央学院大学にて第2回研究会を開催し、個人研究発表と研究企画会議を行った。当初は、それに加えて研究構想発表とワークショップも開催する予定であったが、今回は個人研究発表を希望するメンバーが多かったので、集中的に個人研究発表を行うプログラムにした。その内容は、①山本恵子(東京造形大学)「ニーチェ芸術論とMitleid(同情/共苦)」、②井西弘樹(敬和学園大学)「ニーチェ『悲劇の誕生』における同情の両義性」、③多田光宏(苫小牧工業高等専門学校)「共苦から尊厳死までのあいだ」、④本郷朝香(お茶の水女子大学)「啓蒙主義の思考法から読み解く、ニーチェにおける「同情」の位置づけ」、⑤梅田孝太(上智大学)「ニーチェにおける自律と同情の問題」の5発表であり、ニーチェ研究者側からの〈同情/共苦〉に対する批判的検討を集中的に扱う内容となった。また研究領域は、原理論(本郷、梅田)、政治と倫理(多田、井西)、美学(山本)と、本プロジェクトが扱う三領域をすべて網羅することができた。研究企画会議では、本プロジェクトを含む過去三回の科研費プロジェクトの研究成果をまとめて、広く世に問う方法について検討を進めた。さらに、各メンバーが参加した日本ショーペンハウアー協会主催の全国大会(2023年12月開催)および同協会主催の各種研究会(ニーチェ・セミナー〔年度内2回開催〕、関東地区研究会〔年度内4回開催〕、関西地区研究会〔年度内11回開催〕)において意見交換を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、過度な理性主義に対する感情や身体の復権という思想動向の意義を認めると同時に、過度な感情主義に対しては理性の復権を目指すのが哲学の役割であるという複層的な立ち位置を取りながら、様々な領域で進められている「感情」や「共感」の研究を参照しつつ、ショーペンハウアーとニーチェの哲学の対比研究を行い、〈同情/共苦〉の「原理論」・「倫理と政治」・「美学」という三領域を包括する視座の獲得を目指しており、研究への着手年度であった2022年度は、研究構想発表やワークショップを通じて課題の共有を図りつつ、研究のメインとなる個人研究発表では主としてショーペンハウアーの〈同情/共苦〉論を検討対象とし、また研究領域は原理論が中心であった。その状況を受けて2023年度は、「研究実績の概要」で示したとおり、ニーチェ研究者側からの〈同情/共苦〉に対する批判的検討を集中的に扱い、研究領域は、原理論・政治と倫理・美学の三領域をすべて網羅することができた。以上のように、本研究の目的に掲げたテーマ・領域についての成果は着実に積みあがってきており、したがって現在までの本研究の進捗状況は「おおむね順調に進展している」に該当すると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、メンバー全員による年1回の研究会を核とし、それに、日本ショーペンハウアー協会主催の全国大会と各種研究会(ニーチェ・セミナー、関東地区研究会、関西地区研究会等)での意見交換を加えることで進めることを当初の計画としたが、進捗状況は「研究実績の概要」ならびに「現在までの進捗状況」で記した通り順調であり、今後も引き続きこの方法で進める予定である。 2024年度は、当該年度第1回目のニーチェ・セミナーが4月27日にすでに開催され、そこで意見交換を行った。また第3回目の全体研究会を敬和学園大学で8月20日~22日に開催することも決定している。研究会の内容は2022年度を踏襲し、個人研究発表、研究構想発表、ワークショップ等で構成する予定であるが、本研究の最終年度であるので、研究三領域のバランを考えながら、個人研究発表を中心にプログラムを組む予定である。さらに最終年度である今年度は、上記の研究会に加えて総括シンポジウム開催し、そこで三年間の研究成果を広く世に問う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
以下の二つの理由により次年度使用額(残額)が生じた。①一部のメンバーが体調の関係でオンライン参加となり、その分の旅費・交通費がかからなかった。②購入を予定していた書籍の一部が購入できなかった。これは次年度に繰り越して、未入手書籍等の購入に充てる。
|