研究課題/領域番号 |
22K00052
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
井澤 耕一 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (00455908)
|
研究分担者 |
橋本 昭典 奈良教育大学, 国語教育講座, 教授 (20379522)
佐々木 満実 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 基幹研究院研究員 (50838795) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 中国近代経学史 / 近代における中国古代史研究 / 劉師培 / 夏曽佑 / 近代日本における中国学研究 / 王ガイ運 / 王先謙 / 葉徳輝 |
研究実績の概要 |
本研究は、中国近代において「経学者」により撰述された「中国古代史」の注釈を作成することにより、従前歴史学からのみ検討されてきた中国人の“記憶の記述”、いわゆる「史書」を思想史という別の学問的分野から再考察し、最終的には思想史と歴史学を横断した「新たな」中国古代史を構築することを目的とする。そのために清末の経学者である劉師培『中国歴史教科書』(1905-06刊)および歴史学者の夏曽佑『最新中学教科書 中国歴史』(1904-06刊)の訳注を完成させる。 2年目に当たる2023年度の研究成果は以下のとおりである。 ①20世紀初頭の経学者、劉師培の中国史観を究明する作業を進めた。代表者は、劉師培『中国歴史教科書』の訳注稿を佐々木満実氏と共同で作成し、その成果を『茨城大学人文社会科学部 人文社会科学論集』3号にて発表した。 ②勉誠社『アジア遊学292 中国学の近代的展開と日中交渉』において、代表者は「漢学者松崎鶴雄から見た湖南の経学大師:王ガイ運・王先謙・葉徳輝」、共同研究者は「皮錫瑞『経学歴史』をめぐる日中の人的交流とその思惑・評価」を発表した。 ③代表者は大阪大学で開催された「日本中国学会第75回大会」において「長江流域における経学史および中国史研究の成立とその展開:近代日本の中国学との邂逅」を発表した。さらにそこで述べた論を補強・発展させるため、3月16日より23日まで中国湖南省長沙市および江蘇省儀徴市において、近代経学者の王ガイ運、楊樹達、劉師培に係る古籍・史跡調査を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
訳注や論考も予定通りに公刊され、かつ学会発表や中国における文献・史跡調査も実施したため。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、中国・揚州大学にて開催予定の「轉型與選擇:首届“劉師培學術與文學”國際高端論壇」で発表を行う予定である。また「夏曽佑『最新中学教科書 中国歴史』訳注(五)」を作成・公表する。さらに国内外の論文集に新たな論考を必ず投稿する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が2023年度中に購入予定であった古書『東洋史要』の中国からの入荷が遅れたことにより、予算執行が叶わなかった、しかし2024年度中には必ず購入する。
|