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2023 年度 実施状況報告書

チベットの民間信仰に関する宗教人類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K00076
研究機関駿河台大学

研究代表者

村上 大輔  駿河台大学, 経済経営学部, 准教授 (50778339)

研究期間 (年度) 2022-11-15 – 2026-03-31
キーワード民間信仰 / チベット
研究実績の概要

本研究の目的は、世界的に立ち遅れているチベットの民間信仰に関する研究を深めていくことである。約十年間にわたって報告者が中国チベット自治区・ラサで蒐集した、民間信仰や聖地巡礼の習俗に関する膨大なデータを、ボン教の伝統が色濃く残るネパール領チベット文化圏のフィールド調査を通して比較・ 整理し、体系化していくことを目標としている。2023年度においては、大阪・国立民族学博物館に所蔵されているチベット語経典・儀軌書、および物質資料などを閲覧・蒐集・分析するとともに、国内外の研究関連書籍を購入し、それらの文献研究に従事した。さらに、その文献研究をもとに、ネパール・カトマンドゥのボン教寺院ノルブツェ寺のラマ僧や、同国ムスタン地区の行者や僧侶などから具体的な助言を受け、本研究で特に焦点をあてるべき儀軌・習俗の同定および精査を開始することができた。
近代化・中国化の激しい中国領のチベットに比べ、チベット文化圏の辺境地であるムスタン地区においては、チベットの民間信仰の習俗が古代・中世以降大きな変化を蒙ることなく温存されており、上の同定したいくつかの儀軌・習俗も、その重要な要素群であると推察される。これらは、本研究の主目的であるチベットの民間信仰の習俗の淵源をさぐるために極めて貴重なものであることは間違いなく、今後はその儀軌書を解読・分析し、その儀軌・習俗そのものを人類学や宗教学、チベット学の視点から考察していくことを予定している。
いっぽうで報告者は、チベットの民間信仰の呪術性に関する論考を2023年度に発表した。また、民間信仰をフィールド研究するうえでの方法論について理論的に模索することも同時に開始することもできた。両者はチベット・ヒマラヤ地区に限定されない、より普遍性のある議論に繋がっていくものと予想している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究でフォーカスを当てるべき習俗や儀軌を同定し、そしてそれに関連するチベット語教典、関連研究書籍を蒐集・精読・分析を開始できたことは、ある一定の成果であると判断している。また、本研究を理論的に深めていくために、チベットの民間信仰の呪術性に関する議論を論考の形で発表できたこと、さらには、宗教人類学のフィールドワークのメソドロジーについて理論的な考察を始めることができたのも、大局的な観点からみて本研究遂行のためプラスに働くと思われる。

今後の研究の推進方策

今後二年間の残りの研究期間のあいだ、科研予算の範囲内においてネパール・カトマンドゥおよびムスタン地区に少なくとも1-2度フィールドワークの機会を設けたいと考えている。ヒマラヤ山脈の中に存在するムスタン地区は、冬季は積雪、夏季はモンスーンの時期と重なり、気候的に入境が極めて困難な時期があるため、フィールドワークの時期を注意深く見定める必要があると考える。具体的には、2025年の2-5月の間に3週間ほど、同年9月、もしくは2026年の2-3月をフィールド期間の候補に考えている。
また今後も2023年度に引き続き、大阪・国立民族学博物館に所蔵されているチベット語経典・儀軌書、および物質資料などを閲覧・蒐集・分析するとともに、国内外の研究関連書籍を購入し、それらの文献研究に従事したい。また2024年度中に、上記において言及した、宗教人類学のフィールドワークのメソドロジーについて理論的な論考を発表したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

当該年度の1-2月に購入予定であった研究書籍を同年度3月に購入したため。本年度(2024年度)にその書籍購入費を請求する予定である。また本年度においては、旅費、書籍購入費、物品費などに本年度の助成金を使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] チベットの民間信仰の呪術性に関する試論 : 「魂」(bla) を呼び戻す儀礼とフロイトの夢理論2024

    • 著者名/発表者名
      村上大輔
    • 雑誌名

      駿河台大学論叢

      巻: 66 ページ: 51-76

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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