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2022 年度 実施状況報告書

明治期におけるトランスナショナルな日本仏教の諸相とその動向

研究課題

研究課題/領域番号 22K00088
研究機関龍谷大学

研究代表者

嵩 満也  龍谷大学, 国際学部, 教授 (40280028)

研究分担者 菊川 一道  龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10828205)
中西 直樹  龍谷大学, 文学部, 教授 (20412687)
内手 弘太  龍谷大学, 文学部, 講師 (20876172)
杉本 良男  国立民族学博物館, その他部局等, 名誉教授 (60148294)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードトランスナショナルな日本仏教の諸相と動向 / 双方向的な交流の諸相 / The Bijou of Asia / Journalof the Mahabodhi / The Hansei Zasshi / 海外仏教事情 / 近代仏教
研究実績の概要

本研究では、19世紀半ば以降に進展する、トランスナショナルな日本仏教の諸相と動向を、明治前期に欧米、南アジア、日本で出版・流布された仏教雑誌記事の内容を読解し、従来不十分であった双方向的な交流の諸相を明らかにし、日本仏教の近代化論を再検討することを目指している。
研究遂行にあたり①英文雑誌分析班と②日本語雑誌分析班を設置したが、2022年度は①班の嵩と菊川は主にThe Bijou of Asia(日本:1888-1889)の読解を進め、杉本はThe Journal of the Mahabodhi Society(1892-1933)の読解を進めた。②日本語雑誌分析班では、中西と内手が主に『反省会雑誌』(日本:1887年-1899年)と同誌の英語版であるThe Hansei Zasshi(日本:1896-1898)の分析を進めた。
①の成果としては、The Bijou of Asiaの目録の作成に加え、同誌の記事に名前が出てくる人物名を抽出し、その経歴等について追跡した。その上で、他の海外の雑誌等への投稿の有無を調査し記事の蒐集に努めた。杉本はダルマパーラの活動の分析を行い、成果の一端を「南アジアのスピリチュアルなナショナリズム」(2022年7月)として発表した。また①班では、プネ大学講師のPratap氏とストラスブール大学准教授Costanzo氏を招きダルマパーラとThe Journal of the Mahabodhi Societyに関する公開国際研究会を開催した(2022年7月)。
②班の成果としては、中西がThe Hansei Zasshiの全原本の収集に努め、さらに同誌の内容を紹介するパネル展示(来年度実施)と図録の作成を行った。内手は『海外仏教事情』の読解を進め、①班と情報を交換しつつ、英文雑誌との内容との関連から窺われる双方向的な交流の諸相について分析した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度の研究では、各班がそれぞれの研究対象となる雑誌の読解・分析を中心に順調に進めることができた。①班では、The Bijou of Asiaに出てくる人物名の一覧と、その経歴及び海外の他の雑誌への投稿記事の蒐集と、『海外仏教事情』の記事内容との関連について一覧を作る作業を進めている。また、②班では、『海外仏教事情』の記事に出てくる人物の一覧と、その経歴、他の邦文雑誌への投稿記事の蒐集を進めている。また、次年度の研究内容として計画していたThe Hansei Zasshiの全原本の蒐集が順調に進んだことから、その分析に前倒しで着手し、パネル展示とその図録の作成がほぼ完成している。
各班による研究会も計画通り実施できた。また、共同での公開研究会についても、今年度は国際研究会として開くことができた。また、成果発表についても順調に行われている。

今後の研究の推進方策

2023年度の研究では、まず①英文雑誌分析班は、②日本語雑誌分析班と共同でThe Hansei Zasshiを中心に分析を進め、万国博覧会以降の西洋世界に対する仏教界の動向が顕著にあらわれる本誌の解析を通して、1893年の万国宗教会議以後の日本仏教の展開について解明する。さらに同雑誌とThe Journal of the Mahabodhi Societyとの交流について解析し、西洋と日本との国際ネットワークだけでなく、インドを含む多国間での仏教者たちの交流をよりグローバルな視野から分析する。 また、アメリカでの現地調査を行い、現地協力者の支援を受けて未収集の資料を蒐集する。
②日本語雑誌班は、英文雑誌班と協力して、The Bijou of Asia やThe Hansei Zasshiに寄稿している人物に注目する。彼らの日本語論説をできる限り蒐集し、分析することを通して、国内にいかなる影響をもたらしたのかについて分析する。
加えて、2022年度と同様、各班でそれぞれ公開研究会を2回開催する。また、国際研究会についても積極的に開催し、近年進んでいる海外の英文雑誌に見られる近代日本仏教の活動についての最新の研究状況について知見を広める。

次年度使用額が生じた理由

2022年度は、新型コロナウイルスの流行も次第に落ち着きを見せてきたが、当初の計画通り出張を伴う資料収集・調査ができず、参加予定であった学会や研究会もオンライン開催となったこともあり、旅費や参加費の支出が少なくなったため、当初の計画よりも支出が減少した。
次年度以降は、引き続き資料収集と整理を進め、各共同研究者が得られた成果を学会や研究会で報告していく予定であり、そのための図書館等での、資料収集、複写費、旅費等に使用予定である。また、国内旅費や海外渡航費が高騰しており、前年度繰り越した旅費についてその不足分に充当する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 本願寺派における「主流派」の誕生-空華学派とその私塾経営2023

    • 著者名/発表者名
      菊川一道
    • 雑誌名

      宗教研究

      巻: 別冊第96巻 ページ: 225-226頁

  • [雑誌論文] 「南アジアのスピリチュアルなナショナリズム」2022

    • 著者名/発表者名
      杉本良男
    • 雑誌名

      吉永進一・岡本佳子・莊千慧(共編)『神智学とアジアー西からきた<東洋>』(青弓社)。

      巻: 1 ページ: 88-104頁

  • [雑誌論文] 「日本仏教海外布教の歴史的検討―真宗大谷派のアジア布教の検証を通じて―」2022

    • 著者名/発表者名
      中西直樹
    • 雑誌名

      『現如上人「北海道開拓・開教」一五〇年目の検証』北海道教区宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要並びに現如上人百回忌法要委員会

      巻: 1 ページ: 45-88頁

  • [雑誌論文] 「比較神学的対話(Conversations with Comparative Theology)と真宗学ー宗教間対話の経験をとおして」2022

    • 著者名/発表者名
      嵩満也
    • 雑誌名

      龍谷大学『世界仏教文化論叢』

      巻: 第60集 ページ: 117-136頁

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公開日: 2023-12-25  

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