研究課題/領域番号 |
22K00114
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
森 新之介 早稲田大学, 高等研究所, その他(招聘研究員) (80638718)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 専修念仏 / 浄土宗 / 真宗 / 多念義 / 一念義 / 三昧発得記 / 源空伝 |
研究実績の概要 |
本年度は当初の研究計画通り、研究課題全体にとって必要な資料の調査と収集、分析に力を注いだ。訪問調査先は、国立国会図書館や国文学研究資料館、三康文化研究所付属三康図書館、大倉精神文化研究所付属図書館、神奈川県立金沢文庫、叡山文庫、東京大学史料編纂所、東京大学東洋文化研究所、大正大学付属図書館、龍谷大学図書館、大谷大学図書館、佛教大学付属図書館、京都大学大学院文学研究科図書館、京都西山短期大学図書館などである。また、いくつかの図書館・文庫から所蔵資料の複写物を請求し、新書古書などを購入した。 研究成果としては、3つの学会・研究会で研究発表を行い、査読なし雑録「「三昧発得記」の編纂と流伝」(『早稲田大学高等研究所紀要』15、2023)が刊行された。また、査読あり論文1本が査読を通過して刊行予定となっており、本年5月の研究発表1回もすでに決定している。 その論文「法然房源空の比叡登山年――十五歳説と十三歳説を比較して――」は、古来併存している法然房源空の登山年を比較検討し、天養2年(久安元年、1145)の13歳時とする説よりも久安3年(1147)の15歳時とする説が妥当だと論証したものである。源空登山年についての15歳説と13歳説は、言説が諸流派で如何に展開したかを示す一つの事例でもある。この成果は、数十年前から批判されてきた宗派史観をより相対化するものとして有効であり、次年度以降の研究にも活用できるものだと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題を開始した2022年4月の時点では疫情がどのように推移していくか不透明であったが、現在まで概ね着実に改善されつつある。そのため、多くの図書館などへの訪問調査が可能となり、研究発表を予定していた学会も例年通り開催され、研究を順調に展開できた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の資料収集の過程で、予想外の重要な発見が複数あった。それら自体は非常に好ましく、本研究課題を大いに前進させるものではあるが、当初の研究計画を修正しなければならなくなった。研究活動の効率化などによって対応し、引き続き本研究課題の目標を所定の年数で達成できるように努力していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度5月に国立国会図書館が「個人向けデジタル化資料送信サービス」を開始したことで、新たに約150万点の資料が同館外部からも閲覧できるようになり、同年度12月からはダウンロードも可能になった。これら資料には本研究課題にとって必要なものも多く含まれており、図書の購入費を当初の研究計画より大幅に抑制することができた。 また、「今後の研究の推進方策」欄に記入したように、本年度は研究が計画以上に進展した。そのため、次年度以降の研究活動を柔軟に展開できるようにするため、研究費を次年度に繰り越すこととした。 次年度使用額の使途としては、他大学図書館や文庫などに所蔵されている古典籍を閲覧するための旅費や、それら古典籍の複写請求費に充てる予定である。
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