• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

近代における雅楽普及の水脈---地方で活動した「元楽人」に焦点をあてて

研究課題

研究課題/領域番号 22K00143
研究機関神戸大学

研究代表者

寺内 直子  神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (10314452)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード雅楽 / 元楽人 / 地方 / 静岡県士族 / 伊勢神宮
研究実績の概要

この研究の目的は、明治維新後、雅楽伝承の広範な伝播と継続的な実践を支える人材として地方に下った「元楽人」の活動と当該地域の雅楽実践を明らかにすることである。雅楽は天皇儀礼と結びつき、幕末までは関西の禁裏楽人、明治以降は東京の雅楽局(のち宮内省(庁)楽部)の楽人を頂点として伝承されて来た。従来の雅楽研究もそれら「中央」の雅楽と楽人を対象とするものが大多数である。しかし、雅楽はいくつかの地方では古くから実践され、明治以降は政府の雅楽解禁政策により、雅楽を持たなかった地域にさらに広がる。その際、中央の楽人と地方の人々の間を取り持つ「中間師匠」として、雅楽局を辞め、地方に下った楽人がいる。彼らは中央の第一線から離脱した人々として雅楽史の表舞台からは消え、活動の詳細も知られていないが、地方の雅楽の定着に大いに貢献したと考えられる。本研究は、伊勢、静岡、尾張・三河で活動した元楽人たちに注目し、歴史資料と現地の雅楽関係者への聞き取り調査によって、彼らの活動と当該地域の雅楽の歴史と現在を検証する。
22年度は、1) 伊勢神宮の史料調査と、2) 静岡県士族の元楽人の調査を行った。1)の成果としては、伊勢神宮(神宮文庫)の資料(『祭典課日誌』)を閲覧し、明治初期の在来の芸能の執行状況と雅楽の新たな導入について確認できた。2)については、旧紅葉山楽人で静岡県士族になった東儀弘長家の文書調査によって、紅葉山楽人が江戸時代から伝承してきた伝承(知)の全般に加え、明治以降に新たに獲得されたレパートリーがあることがわかった。また、静岡県で神職を務めた大井安親、大井菅麿の日記から、明治期における宗教儀礼における雅楽の導入の静岡県下の状況解明の端緒を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

旧静岡県士族の資料については、計画以上に調査が進んだが、伊勢神宮関係の資料については計画したほど情報が入手できなかった、よって今後資料の種類や所在について、さらに調査を進めたい。また、三河地方の雅楽の実践についも現地調査を行ったが、さらに調査対象を増やして、情報量を増やす必要がある。

今後の研究の推進方策

伊勢神宮関係の楽人関係の資料については、さらに資料調査を進めたい。静岡県士族の旧楽人については、入手した東儀家の資料と静岡県下の神官の日記の解析を進め、雅楽の地方普及の容態の、より具体的な姿を明らかにしたい。また、尾張、三河地方の雅楽の実践についも一部、現地調査を行ったが、さらに調査対象を増やしてフィールドワークを行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 紅葉山楽人東儀兼長家文書『家傳』と『家傳一覧記』2023

    • 著者名/発表者名
      寺内 直子
    • 雑誌名

      国際文化学研究

      巻: 59 ページ: 1-33

    • DOI

      10.24546/0100480918

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 近代創作巫女神楽の音楽的考察 : 〈八雲舞〉〈鈴舞(真澄鏡)〉〈浦安の舞〉を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      寺内 直子
    • 雑誌名

      国際文化学研究

      巻: 58 ページ: 1-58

    • DOI

      10.24546/81013477

    • オープンアクセス
  • [学会発表] A local song or a court song?: a 'discovery’of a saibara song“Sakurabito” in Nagoya2022

    • 著者名/発表者名
      TERAUCHI Naoko
    • 学会等名
      7th Symposium of the Study Group on Musics of East Asia, International Council for Traditional Music
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi