研究実績の概要 |
2022年度内に口頭発表や論文、著書の発表という形での実績は作れなかったが、2023年5月の学会発表や6月刊行予定の著作の中にその成果を盛り込む準備を行なった。また2019年に行なった口頭発表も2023年に刊行される予定。 1)2023年4月28日に行われたラトヴィア大学人文学部古典文献学科・ヘレニズム研究センター・ラテン語文化遺産センター共催の第7回古典文献学国際会議Antiquitas vivaでの発表(Zoom参加)に向けての準備を行なった。発表タイトルは“The Influence of Mythical Figures on the Double-tailed Siren in the Middle Ages”である。 発表では、特に西洋古代、特にエトルリアの遺跡に描かれたトリトンやスキュラなどの海の神話的存在の中世における受容が、二股のセイレーンの形態の発生に与えた影響について考察した。中世において「淫蕩」の寓意の代表ともなったセイレーンが、罪深い男女を表す他の図像などと関連しつつ変容していく様を捉えることは、ジェンダーの視点からも意義がある。 2) 二股のセイレーンのポーズは、紀元前からある両足を広げる女性像のアミュレットともしばしば関連づけられる。これらや、西洋のフォークロアの世界で多用されたセイレーンの形をした護符について、F.T.エルワージの著作『邪視』を参照しつつ、ロマネスク期の聖堂を装飾するセイレーンの図像との関連性についても考察を行ない、6月刊行の著作の中で扱っている。 3)“Migration of the Images of the Sirens to the New World,” Antiquitas Viva: Studia Classica, no.6, University of Latvia が2023年刊行予定。
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